森みどりの府議会レポートNo.5
九月定例会で一般質問
府議会議員として初めての質問、しかも本会議場で。とても緊張しましたが、私の活動の大きな柱である「子育ち・子育て支援」を中心に20分間の質問を行いました。
思春期の子どもたちをめぐる問題について
質問:森みどり
民主党・無所属ネット議員団の森みどりです。
本日は、初めての一般質問の場を与えていただきまして、大変うれしく思っております。
私は、子どもも一人の市民であると常々考えております。子どもの市民的権利の保障は、あらゆる年齢の子どもたちが元気で生き生きと成長して、そして生活していける環境をつくることだと考えます。そのためにも、子育ち・子育て支援を大きなテーマとして今後も取り上げていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
まずは、思春期の子どもたちをめぐる問題について取り上げたいと思います。
思春期とは、御承知のように、子ども期から脱した若者が、さらに大人へと成長していく移行期であり、自分らしさを確立していくために、また親からの精神的自立を模索していく葛藤の中で揺れ動く時期です。大体、小学校高学年から中学にかけて始まるとされています。思春期危機という言葉があるほどに、この時期の不安定さは時として極端なものとなり、精神的危機に陥りやすくなります。それまで手のかからないよい子であった子どもが思春期を迎えると、さまざまな精神的問題を生じることが多いのもこのためです。
そしてまた、現代の若者たちは、我が国が高度経済成長期から安定成長期へと移行した後に生まれ、お金さえ出せば何でも手に入るそういう時代に、そしてまたあふれるほどの情報に囲まれながら育ちました。既に核家族化した中で、人と人との関係も希薄化して、そのような現代社会に生きる子どもたちは、非常に孤立感を深めているとも言われております。不登校、引きこもり、摂食障害、非行、自殺などなど、さまざまな問題行動に結びつくことが、だれにでも起こり得る環境にあると言えます。まさに子どもにとっては非常に生きにくい受難の時代だと言わざるを得ません。
さて、子どもの最善の利益の保障をうたった子どもの権利条約が1989年に国連総会で採択され、1994年に日本でもこの条約を批准し、既に9年がたっております。子どもたちを権利の主体者として、子どもの人権を尊重した取り組みが地道に行われる一方で、子どもへの虐待は後を絶たず、また少年少女が巻き込まれる犯罪も多発化しています。
戦後の少年犯罪の推移を見ますと、件数で見る限り、世間で騒がれているほどには増加していないのですが、しかし神戸や長崎の事件で見られるように、殺人にまで至るケースや、また一見普通の子がいきなり事件を起こす、いきなり型と言われているケースがふえてきて、うちの子も加害者になるのではないかという保護者の不安が増大しています。さらに、加害少年自身も、過去の生育過程において虐待や性的被害など、被害者であったケースも少なからず明らかにされています。
そして、見落としてはならないのが、マスコミによる過剰とも言える少年犯罪報道の陰に、数値的には何倍もの数に上る被害者の子どもたちがいるという事実です。先ほど熊取町の小学生の事件については、森山議員から質問もあり、お答えもいただきました。
最近、私の住む茨木市におきましても、小学生、中学生が襲われたり、つけねらわれ連れ去られそうになるという事件が多発しております。保護者はもとより、学校の教職員、地域の皆さんの協力でパトロールを強め、事件を未然に防ぐ努力が続けられておりますが、まずは子どもの命を守るということに警察を初め関係機関が全力を挙げて取り組んでいただきますよう、改めてお願いをしておきます。
そして、知事にお伺いをいたします。
知事は、最近の事件に触れる発言の中で、また先日我が会派が行いました来年度の予算要望の折にも、その発言の中で、これからの時代は、もっと子どもに光を当てていかなければならない、大阪が日本一子育てしやすい地域と言われるように、子どもたちの育ちをしっかり応援していきたいとおっしゃっています。その言葉に意を強くしている一人としてお聞きします。
長崎事件などに見られる少年犯罪や子どもが巻き込まれる事件に対して、どのように受けとめておられるのか。また、子どもの育ちをしっかり保障する環境づくりとして、これから何を優先していこうと考えておられるのか、お聞かせください。
答弁:太田房江知事
森議員の御質問にお答えを申し上げます。思春期の子どもたちをめぐる現状ということでございますけれども、長崎の事件では、四歳の幼児が犠牲になりまして、加害者として十二歳の少年が補導されました。その後も、マスコミを通じて次々に新しい事実が明らかになっておりまして、私自身、大きなショックが続いておるというのが正直なところです。また、沖縄では、中学生が中二男子を殺害するという事件が起こり、またこれは議員もおっしゃいましたけれども、その他の社会の表面に出てきていない少年、青少年犯罪を含めますと、本当に全国的な広がりがあるわけで、改めて少年事件の深刻化ということを痛感しております。こうした少年犯罪の背景にはいろいろな原因がありますけれども、都市化の進展に伴う人間関係の希薄化、核家族化に伴う家庭環境の変容、規範意識に欠ける社会風潮などなど、現代社会のさまざまな問題が絡み合ってその背景になっていると思います。子どもの育ちをしっかり保障する環境づくりについては、子どもが豊かな感性や人を思いやる心をはぐくんで健やかに成長していくためには、現代社会において失われつつある人と人との結びつきや、家庭を孤立させることなく地域全体で見守っていく必要があります。こうした観点を踏まえて、地域における子育ての支援、職業生活と家庭生活との両立の推進などについて、次世代育成支援対策推進法に基づきます行動計画の中に、これから位置づけていきたいと考えております。また、ボランティアとの連携など地域が一体となって、子どもに有害な環境を改善し、健やかに育つ環境づくりを推進してまいります。
社会的ひきこもりについて/p>
質問:森みどり
次に、社会的引きこもりについてお伺いいたします。
世間を騒がせるような犯罪が、少年少女の動的な問題行動だとすれば、一方で、静かに、けれど確実に進行しているのが、社会的引きこもりです。厚生労働省の推計では、全国で既に180万人に達していると言われております。北摂エリアの人口が160万人、これ以上の人が全員家に引きこもっている。考えてみてください。そのうちの7%が10年以上の長期にわたっていると言われております。十代、二十代という最も多感で活動的であるはずの時期を自宅で、家族以外の人と接触することなく過ごし、既に三十代、四十代になってなお自宅に引きこもっている人たちがいるのです。さらに付け加えるならば、その家庭には、その子どもたちとともに悩み苦しんでいる家族、そのほとんどが母親であろうと思われますけれども、存在しているという現実があります。
本年7月に、厚生科学研究事業として、十代、二十代を中心とした引きこもりをめぐる地域精神保健活動のガイドラインが出され、引きこもりに対して精神保健福祉センター、保健所、市町村でどのように対応するか、援助するかという内容が示されました。昨年一年間の全国の保健所、精神保健福祉センターで受けた引きこもりに関する相談事例においても、平均年齢は26.7歳になっておりました。3人に1人が三十代だということです。
このように深刻の度合いが深まる中で、地域においてまずできることは何かということに力点を置いたと書かれておりました。引きこもりに直面した家族等がまず相談できる場が身近な地域に必要であり、そこから本人や家族に合った個別の支援につなげていく体制づくり、それが重要であると考えます。
昨年の9月議会で、この問題について先輩議員が質問をされ、健康福祉部長から丁寧な答弁があったことを承知しております。その後、社会的問題として少しずつ認知されている中、その取り組みがどれくらい有効に機能しているのか、また現状に即したものになっているのか、お聞きしたいと思います。
先ほどの調査において、全事例のうち小中学校における不登校経験者は33.5%となっており、不登校から引きこもりへと移行していくケースが多いことがうかがわれます。したがって、早い段階での専門的かつ適切な対応が重要だと思われます。小中高段階にある子どもたちについては、子ども家庭センターの職員が直接学校に出向き、学校教員とともに対応されているということですが、子ども家庭センターが守備範囲としている市町村はとても広く、ちなみに三島エリアでは、100万人の人口を有しております。そしてまた、多種多様な引きこもりの状況があるわけですが、果たして十分な対応ができているのでしょうか。対応の実態についてお伺いいたします。
義務教育修了後、学校や職場で不適応状態になるケースについて、子どもライフサポートセンターで個別援助プログラムを作成し、生活指導や心理的ケア、学習や就労支援を行うとのことですが、現状についてお聞かせください。
長期にわたって引きこもりが続いているケースにおいては、こころの健康総合センターでの対応が行われているとのことですが、取り組みの現状をお聞かせください。
また、本人や家族の居場所となる当事者グループの育成、既存の制度の活用はどのようになされているのでしょうか。
最後に、このような社会的引きこもりの現状並びに対応を踏まえて、今後引きこもりに直面した家族がまず相談できる場が、市町村など身近な地域に必要であり、そこから本人や家族に合った個別の支援につなげていく体制づくりが重要ではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。
以上、健康福祉部長の答弁をお願いいたします。
答弁:健康福祉部長
社会的引きこもりにつきましてお答えをいたします。従来、引きこもりは、精神疾患を原因とするとされておりましたけれども、近年は、明らかな精神疾患がなくても、自宅に引きこもって社会参加しない状態にある方が増加をいたしておりまして、社会的引きこもりとして社会問題となってきております。この社会的引きこもりは、個人を取り巻くさまざまな要因が影響するため、学齢期から二十代あるいは三十代の青年期に至るまで、年齢や状態に応じた適切な支援が求められております。そのため、学齢期の子どもにつきましては、子ども家庭センターにおいて、不登校、引きこもりに関して子ども自身や家族などから寄せられる相談に応じております。さらに、学校への派遣相談として、ケースワーカーが教員に対して助言や指導、研修などの支援を行っており、昨年度の府内の学校への職員派遣による相談は百四件となっております。また、義務教育修了後は、ことし四月に開設をした子どもライフサポートセンターにおきまして、基礎的な生活支援、自立に向けた学習や職業支援、子どもの家庭復帰への家族支援などのプログラムを組み合わせ、最も効果的な自立支援プログラムを提供し、援助を行っております。さらに、青年期につきましては、こころの健康総合センターにおきまして専門相談と本人や家族に対する支援サービスを実施しており、相談件数は、平成十三年度四百十件、十四年度六百四十件と年々増加をいたしております。このため、引きこもり本人によるグループ活動や家族相互の支え合いの場としての家族教室などの実施とあわせ、本人や家族の居場所となる当事者グループの育成に努めるとともに、必要な場合にはグループホームや作業所が利用できるよう助言、援助を行ってまいります。家族や本人の孤立を防ぎ、引きこもりの長期化を予防するため、身近な相談窓口の整備と、個々のケースに応じ適切な機関に結びつけるシステムが重要でございますので、今後、保健所における専門相談の実施とあわせ、府及び市町村の保健、医療、福祉、教育分野など関係機関のネットワーク構築をするよう検討してまいります。
早期に少人数学級編成の実現を/p>
質問:森みどり
自立の過程でつまずいてしまった子どもたちへの適切なケアは欠かせないものですが、本来ならば、すべての子どもたちが元気に生き生きと育ってほしいというのが、私たちすべての大人の願いであると思います。子どもたち一人一人の個性を伸ばし、学ぶ意欲を引き出す教育がしっかり行われる環境づくりとして、学校の少人数学級の実現は欠かせないことであると考えています。
冒頭に述べましたように、子どもを取り巻く環境が激変している今、せめて小学校低学年からでも少人数学級にしていくことが急務だと考えます。これは、我が会派の代表質問として取り上げておりますので、ここでは再度強く強く要望しておきます。
子どもの遊びの場の保障=プレーパークについて/p>
質問:森みどり
子どもの成長と自立に欠かせないものとして、遊びは学びと並ぶ、いやそれ以上に大切なものであると私は考えています。子どもは、人や自然とのかかわりの中での遊びを通して生きる力を身につけてまいります。私も、ここにおられる皆さんも、多少年齢差はあるとしても、それぞれ異年齢の友達と一緒に近所の路地や原っぱで真っ暗になるまで遊び回った経験をお持ちだと思います。しかし、最近は、公園でも子どもたちが群れて遊んでいる姿を見ることが少なくなりました。塾通いやおけいこごと、テレビゲームなど、子どもたちが外で元気に遊び回ることができない原因は数多くあります。また、社会の変化によって、路地や原っぱが子どもたちの生活環境から消えていったことも原因に挙げられるでしょう。
でも、本来子どもたちは、好奇心の塊であり、遊びの天才であるはずです。遊びの空間を整えていくこと、それも各種のテーマパークや立派に遊具が整った公園、それは大人による遊びのお仕着せにもなりかねないと私は思うのですが、そのような公園だけでなく、木登りや穴掘り、泥んこ遊び、場合によっては火を使って遊べる空間も必要だと思うのです。大人にとってはうるさく、汚く、危なっかしい遊びが、それこそ子どもにとっては遊びの魅力と言えるのではないでしょうか。
今大人である私たちは、子どものころそのような空間があちこちにありました。そこでパワーを全開にして遊ぶことで、危険から身を守り、そしてまた友達の大切さを学び、みずからを成長させていったのだと思うのです。しかし、急速な都市化が進んでおりまして、原っぱにはビルが立ち並び、わずかな空き地も次々と駐車場に変わってしまいました。また、路地裏にまで車が入り込んできています。
一度失われたものを取り戻すには、相当な努力と工夫が必要です。その努力と工夫が、実は20年以上も前から行われ、このような遊びの空間、それが日本にも登場しております。冒険遊び場−−プレーパークと言われているものです。これは、デンマークが発祥の地です。そこでは、自分の責任で自由に遊ぶ、それがモットーです。しかし、今の子どもたちにとって、危険を避ける遊び方や道具の使い方は、残念ながらだれかが教えていかなくてはなりません。そこで、プレーリーダーと呼ばれる人たちが子どもたちを見守っています。あくまでも見守りであって、指導ではありません。
私は、東京都世田谷区にあります羽根木プレーパークを訪問したことがありますが、一たび遊び始めた子どもは、先ほどの危ない、汚い、うるさい遊びが全く大好きで、木登り、ロープを使ったターザンごっこ、泥んこ遊び、秘密基地づくりなどに没頭していました。このような経験をもとに、子どもたちは自主性や危険を避けるすべを自然に学んでいくのでしょう。
そこで、生活文化部長にお伺いいたします。
まず、このようなプレーパーク−(冒険遊び場)についてどのように把握、認識されているのでしょうか。また、府営公園内にあるプレーパーク的活動の実績はあるのでしょうか。さらに、府内各市町村において活動の実例はあるのでしょうか。
次に、いわゆる野外活動場や既設の公園とは違う、子どもの自主的、自発的遊びを生み出すような子どもの遊び場、居場所の必要性についてどのようにお考えでしょうか。
大阪府においても、今後プレーパークの要素を持つ遊び場づくり及びその運営方法について検討されてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
以上で私の質問を終わります。子どもの育ちを保障するという立場で、前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。御清聴ありがとうございました。
答弁:生活文化部長
プレーパークに関する御質問にお答えいたします。子どもたちが公園や野原など広々とした野外であらかじめ用意された遊具ではなく、身近にある道具を使って、みずから工夫しながら自由に伸び伸びと遊ぶことのできる、お示しのございましたプレーパークは、子どもの自主性や創造性をはぐくむとともに、そうした遊びが年齢の異なる集団の中で行われることによって、社会性の醸成にもつながる有意義な場であると思っております。こうしたプレーパーク活動は、箕面市、茨木市、貝塚市において公園や市有地を活用して実施されていると聞いております。また、府営公園も、プレーパークとは異なりますが、多くのボランティア団体によって、年間を通じて子どもたちを対象にした自然観察や自然素材を使った工作、川遊びなどに活用されております。プレーパーク的要素を持つ遊び場の確保につきましては、市町村やNPOなどが地域のニーズを踏まえて取り組まれるべきものと考えておりますが、本府といたしましても、市町村等がモデルとしてこうした活動を行う際には、府の施設の活用や野外での遊びに関するノウハウ、情報の提供などについて関係部局とともに検討してまいります。
