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森みどりの府議会レポートNo.8


岸和田の痛ましい事件に、胸がつぶれるほどのショックを受けました

2004.3月議会(健康福祉委員会)

1、児童虐待問題

岸和田の痛ましい事件に、胸がつぶれるほどのショックを受けました。それは1年以上にもわたり、精神的・肉体的に限界を超えた虐待にボロボロになってしまった15才の少年の心の闇はいかばかりだったかという思いです。一日も早い回復を祈っております。そして、あれほど虐待の増加が語られ、大阪は相談件数では全国一だと認識されていたにもかかわらず、結果的にこのような大きな犠牲が出るにいたってしまったことです。全国一の相談件数は、大阪の取り組みが全国一進んでいるから、相談も多くなり虐待事例も目に見えてくるというとらえ方―これは一面の事実ですが、同時に相談件数、取り組み事例の増加は、その陰に何倍もの見えざる実態、予備軍があるというもう一つの側面を、もっと危機意識をもって捉えるべきであったと、私自身も痛切に反省しています。もうこれ以上一人として虐待で命を落とす子どもを出さない、その決意で今後の取り組みを共に進めていきたいという思いで、以下の質問をいたします。

質問:森みどり

虐待が子どもに与えるダメージは、身体的にはもちろんですが心理的にも、はかりしれないものがあります。多くの虐待が本来子どもが絶対的な信頼を寄せ、育まれるはずの家庭という場で起きると言うこと、それはどんなに虐待を受けていても、子どもはその親を頼らなければ生きていけない状況におかれているということを意味します。それゆえ、子どもが他に助けを求めることが非常に困難になってきます。そのため、子どもからのどんな小さなSOSも見逃さないような、あるいは虐待に陥りそうな親たちを支えるような、地域の見守り体制作りが重要であると考えます。今般、児童福祉法の改正案においても、児童相談に対する市町村の役割が明確化されていますように、今後、虐待予防、早期発見について市町村の役割が非常に大きくなってくると思いますし、府がそれを全面的に支援していくことが重要であると考えます。本会議で知事は、現在、府内全市町村で「虐待防止ネットワーク」が構築されているという答弁をされていましたが、その状況についてさらに詳しく示して頂きたい。特にその中心的役割を担うのはどこなのか、また子ども家庭センター、保健所、身近な保育所や学校など子どもに関わるあらゆる機関との連携などが、どの程度進められているのかお答えください。

答弁:家庭支援課長

市町村域における虐待防止ネットワークは、子ども家庭センターを始め、保健所、福祉事務所、保険センター、教育委員会等、各関係機関が参画し、虐待の予防、発見、地域での見守り活動等を目的にしているものです。全国では約3割の設置状況ですが、府内では、子ども家庭支援センターが中心となって働きかけていたこともあり、現在では、全市町村域において構築されているところ。 ただ、その内容については、児童虐待に特化している場合と、複数の協議事項の一つとしている場合や、ネットワークの事務局を市町村担当課が担っている場合と子ども家庭センターが担っている場合、さらに参画している機関の範囲など、その取り組みには相違が見られます。 より迅速、適切な対応を可能にするためにも、できるだけ当核市町村自身が事務局を担い、より多くの機関が参画して、児童虐待の防止に特化したネットワークを市町村に働きかけているところですが、市町村が事務局を担いながら完全に児童虐待防止に特化して設置されているネットワークは25市町に及んでいる。

質問:森みどり

今後市町村が主体となって、地域における虐待防止に向けた支援体制をつくっていくには、公的な関係機関相互の連携が、まず第一ですから、それを早急に整えていただきたいと思いますし、府の支援体制をしっかりお願いします。その上で、地域住民レベルの意識啓発や協力体制も欠かせないと考えます。 各地域には現在、民生・児童委員さん、ならびに主任児童委員さんがいらっしゃいます。とりわけ主任児童委員は平成13年度から、位置づけが明確化され、この16年3月の改選期には大幅な増員をされると聞いておりますが、この児童委員や主任児童委員の活動を、地域における虐待防止システムに明確に位置づけるとともに、その役割に必要な研修を実施するなどの支援が必要だと考えます。 より実効性のある虐待防止システムの構築にあたって、児童委員や主任児童委員をどのように位置づけようとされているのか、またそのための研修についてもどのようにお考えなのか、具体的におきかせください。

答弁:家庭支援課長

民生委員・児童委員および児童福祉に関する事項を専門的に担当する主任児童委員は、例えば虐待の通告にしても、地域住民と児童相談所や福祉事務所とをつなぐ、非常に重要な役割を担っていると考えられる。 地域に密着して、虐待の早期発見や家庭状況を踏まえた見守り機能を果たしていただけるよう支援する必要があると考えており、大阪府社会福祉協議会においては、民生委員・児童委員、主任児童委員に対する研修が行われておりますが、各子ども家庭センターにおいても、各ブロック単位で設置している主任児童委員の連絡会議を活用して、児童虐待問題についての研修の実施や、情報交換の場の提供を行っており、資質の確保と向上に努めている。 地域における虐待防止体制の充実に向けては、児童委員や主任児童委員の果たす役割は今後さらに大きくなるものと考えており、その役割を果たしていただくため、大阪府社会福祉協議会等とも協力の上、研修内容のより一層の充実に努めてまいりたい。

質問:森みどり

さらに、平成13年度から府において独自に養成されている「虐待防止アドバイザー」の活用についてです。このことは昨年の決算委員会でもお聞きしましたが、各市町村にその活用を働きかけているということでしたが、さらに一歩踏み込んで、府として考える有効な活用とその支援策についてお考えを伺います。

答弁:家庭支援課長

虐待防止アドバイザーは、平成13年度より、府独自に養成事業を進めているところ。 現在、536名の方が研修を修了されており、中学校区に3名程度という考えのもと、合計1000名の虐待防止アドバイザーの養成を目指しております。 また、活用については、市町村に対して、登録名簿を送付するとともに、地域における各種の子育て支援活動に活用してもらうよう、活用例も示しながら機会あるごとに働きかけているところ。 市町村で実施される保育所の園庭開放や、親子教室等の各種子育て支援事業に参加されたり、アドバイザー同士がグループをつくり、自主的に活動を始められるなど、各市町村において徐々に活動の輪が広がりを見せている。 また、今年度、堺市及び摂津市において、比較的軽微な虐待相談に対応し、定期的に家庭訪問を行う「家庭訪問支援事業」が開始され、派遣される人材として虐待防止アドバイザーの方が多数参加されている。来年度には、さらに高槻市、茨木市、東大阪市でも、この事業が実施される方向で検討されており、活動の場がより一層広がるよう働きかけてまいりたい。 さらに、今般示された児童福祉法の改正案において、虐待防止のためのネットワークの設置について規定が盛り込まれることとなり、公的機関以外の多様なメンバーの参画も容易になるよinう参加者に対する守秘義務が課されようとしている。このような国に動向も見ながら、虐待防止アドバイザーを地域における虐待防止ネットワークに位置づけ、より有効に活用されるよう、各市長村に対する働きかけを検討してまいりたい。

質問:森みどり

次に、「子ども家庭センター」を中心とした、虐待への専門的対応の充実・強化について伺います。児童虐待の予防・早期発見について、市町村に求められる役割は今後ますます大きくなると思われますが、すぐにすべての市町村の体制が整うというわけにはいかないでしょうし、また専門機関としてより深刻化した事態に対応していくことが求められると考えます。深刻な虐待の場合には、強制的な親子分離と将来の家族再統合のための親子間の調整という相反する二つの機能を果たさなければならないということを考えても、現在のケースワーカーや心理職員といった専門職員の配置は十分と言えるでしょうか。

答弁:家庭支援課長

児童福祉法改正においても、都道府県児童相談所には、市町村との連携、役割分担のもと、より専門性の高い困難事例への対応や市町村の後方支援という役割の重点化が示されている。 府としても、虐待が疑われる家庭に対して、立ち入り調査や職権による一時保護の実施等、必要に応じた介入的対応の実施や、家族治療等による家族再統合など、より専門性の高い対応を可能とするような体制の整備が必要であると認識している。 府は、これまでも、国の配置基準を上回る児童福祉司を配置し、児童福祉にかかる専門機関としての体制の維持と向上に努めてきたが、虐待相談を始め、相談内容が複雑多様化している状況の中、子ども家庭センターにはより高い専門性が求められている。そのため、職員に対する研修体制の強化を図るとともに、人員体制についても、市町村との役割分担のあり方にも配慮した体制の整備が必要であると考えており、「児童虐待問題緊急対策検討チーム」の提言も踏まえ、必要な体制について検討の上、整備に努めてまいりたい。

質問:森みどり

さて、「児童虐待防止法」には、虐待されているとの通告を受けたら、48時間以内に必要な調査を行い、虐待があると判断した場合には24時間以内に一時保護をしなくてはならないと規定されています。調査から一時保護にいたるまで大変敏速な対応が求められるわけですし、非常に難しい判断を迫られるわけです。より高い専門性を備え、それへの対応力を強化するためには、外部の専門家の力も大いに借りるべきだと思われます。府では、「危機介入援助チーム」を設置し、法律関係や医学的な知識について助言をもらうことのできる専門家の人々を登録し活用していると聞いています。この活用状況について伺います。

答弁:家庭支援課長

より高い専門性を確保するためには、お示しのとおり外部の専門家の助言を得ることのできる機能が必要と考え、平成12年度から設置しております。現在、弁護士28名、精神科医師13名、鑑定医1名の委員で、平成14年度には、電話による相談64件、面談・訪問による相談195件に対応していただいており、この件数は、年々増加の傾向を示している。 このような専門家による助言も得ながら、強制立ち入り調査や職権に対する一時保護等の適切な権限の行使、あるいは、親子の再統合に向けた子供と家庭に対する支援など、子ども家庭センターに求められる専門機関としての機能の強化に努めてまいりたい。

今後とも、子ども家庭センターには、子どもの権利を擁護し、幸福を追求していくために、最大限の努力をしていただくともに、職員の配置基準や施設の最低基準、里親制度の普及に向けた支援など、法制度も含め、今の体制では対応できない部分については国に対して要望していただくなど、今回の事件を教訓にして、二度とこのような事件が起こらないよう現場の考えを発信していただきたい。

要望

現在の専門職員の配置基準は、昭和22年にできた児童福祉法において規定されているわけです。厚生労働省でもわずかずつではありますが、増員に努力され、また大阪府はその基準より若干手厚い配置をしているとはいえ、現在児童福祉司1人あたりが管轄する子どもの人口がおおよそ1万数千人だということです。たとえば、アメリカの場合、日本よりはるかに虐待件数が多いのですが、虐待専門のケースワーカーが子ども2500人に一人だそうです。また、イギリスは日本と同じ程度の虐待件数だそうですが、それでも子ども5000人に一人です。さらにドイツでは、900人に一人という専門家の配置基準を見ると、日本があまりに遅れているといわざるを得ません。もともと児童相談所も児童福祉司も、児童虐待を想定して設置されたものではありません。一般的に家庭での養育困難状況や非行など子どもの非社会的行動について、監護する立場の親からの相談を受けたり、親をサポートするための施設であったのです。そこに便宜的に虐待対応を担わせてきたというのが実状でしょう。先ほども申しましたが、児童虐待というのは、本来の家庭支援、親支援とは相反する形でのかかわりをしなくてはなりません。あくまでも子どもの側に立って、分離しまた再統合するというとても難しい支援活動です。今後さらに増え続けるであろう児童虐待に実効性ある対応ができるよう、決意だけではなく、人員配置やシステムの再構築も含め、「児童虐待問題緊急対策検討チーム」での真摯な議論、検討を要望しておきます。

2.社会的ひきこもり

質問:森みどり

昨年の9月議会で、「社会的ひきこもり」についての質問をいたしました。社会的ひきこもりも、児童虐待と同じように大変深刻な社会問題です。長期化する前にできるだけ早い段階にどう支援できるかが問われているのも同じです。小・中・高校での不登校から引き続き、20代、30代の青年期にいたるまでの、年齢や状態に応じた支援のあり方について、健康福祉部長から各相談機関での取り組み状況と合わせて、ひきこもりの長期化を予防する観点から身近な相談窓口の整備と個々のケースに応じて適切な期間に結びつけるシステムとして保健所における専門相談の実施と関係機関のネットワーク構築の検討についてお答えいただきました。 そこで、これまでの検討状況と今後の見通しについて質問します。 まず、保健所を地域の窓口にした支援体制を整備していくためには、保健所における「社会的ひきこもり」事例の現状把握と市町村を始めした関係機関職員の質的向上が重要であると考えますが、これらの点についての現状をお聞かせください。

答弁:精神健康福祉課長

○ 社会的ひきこもり」事例の相談については、各保健所において精神健康福祉相談の一環として実施しているところであり、相談件数等の把握に関しては、「保健所精神保健福祉業務年報」の中で「社会的引きこもり」に特化した個別集計を行っておらず、正確な把握ができていないのが現状である。 ○ しかしながら、相談件数等の現状把握は、「社会的ひきこもり」に対する相談、援助を充実していく上での基本であることから、「社会的ひきこもり」の項目を「年報」に追加するなど集計方法を改善し、客観的なデータの蓄積を図ってまいりたい。 ○ また、関係機関の職員の質的向上については、こころの健康総合センターにおいて最近注目されている疾病への対応の一つとして、ひきこもりに関する研修を実施しているところであるが、今後は昨年国から示された「ひきこもりをめぐる地域精神保健活動のガイドライン」等を踏まえ、ひきこもり事例の相談を受けた場合の基本的対応や具体的な援助方法など、実践的な取り組みを内容にした研修を計画してまいりたい。

質問:森みどり

ひきこもりの現状をしっかり把握していただくこと、そのためにも研修にも工夫を凝らしてより効果的なものになるよう、お願いします。 社会的ひきこもりを未然に防止し、長期化を防ぐためには児童虐待や学校における不登校などひきこもりの原因となる事例を早期に発見し対応することが、とにかく必要です。 それには不登校問題を学校だけで抱えるのではなく、ここでも地域の支援機関と連携することが求められています。そして学校を卒業した後でも、それで支援を終わりにするのではなく、地域における支援機関につなげていくことが重要であると思います。 そのためには、保健所が地域における相談窓口として「社会的ひきこもり」に関する取り組みを強化することとあわせ、学校や市町村等、関係機関とのネットワークを広げていくことが必要であると思うが、今後、府としてどのように対応していくのか考えを伺います。

答弁:精神保健福祉課長

○府保健所については、平成16年度から組織の再編を行い、専門チーム制による専門相談、支援サービスの充実を図ることとしており、「社会的ひきこもり」に関する取組みも強化することとしている。 ○保健所は地域における相談窓口として重要な役割を果たす機関であると考えており、新しい組織体制による事業展開を踏まえて、平成17年度には、心の健康総合センターを核としながら保健所において来所相談や訪問相談、家族教室の取組みが実施できるよう努めてまいりたい。 ○また、市町村等、関係機関とのネットワークについては、現在、精神保健福祉に関する課題検討の場として「自立支援促進会議」を保健所が中心となりはじめてする関係機関との連携を図り、社会的ひきこもり事例に関して適切な対応が図れるよう取組んでまいりたい。

要望

これまで保健所で「社会的ひきこもり」の相談を受けていても、実際の相談件数の集計では、「社会的ひきこもり」という項目すらなかったということから、16年度からはその相談について「社会的ひきこもり」としてきちんと把握し、集計されるということで、まずは現状、実態把握の第一歩だと思います。 府の外郭団体が主催するシンポジウムが今月末に開かれ、ひきこもりを経験した当事者からの報告もされると聞きました。徐々にではありますが、社会的関心も大きくなってきており、支援策の進展に期待しております。 「社会的ひきこもり」は静かではありますが、時間とともに深刻化していくものであり、従来の「待つ姿勢」ではなく、支援を求める本人や家族の声なき声を敏感にキャッチし、「積極的にアプローチしていく」対応に切り換えていく、大阪府の前向きなとりくみを期待します。

親子交流の場について

質問:森みどり

児童虐待においても社会的ひきこもりにおいても、子育ち・子育てに対する、地域の支援体制の重要性が語られています。 少子化の進行と核家族化に伴って、家庭内のみで子育てを行うことが大変困難になってきています。乳幼児期の母子関係は確かに大事ですが、子育ての責任が母親ひとりに負わされたり、都市部では近隣の人間関係が希薄になり、ささいな不安など誰かに聞いて安心したり、互いに助け合ったりという子育て環境にない中、母親がひとりで悩んだり、孤立化する状況が進んできています。このような子育てに伴う負担感・不安感は、保育所を利用している共働き家庭より、共働きでない家庭の方が高いという調査結果もあり、在宅で子育てにがんばっている保護者への支援を強化していくことが課題だと考えます。 これまでも2中学校区に1箇所を目標に設置が進められている「地域子育て支援センター」において、在宅の子育て家庭向けのさまざまな事業が展開され成果をあげていますが、「親子教室」等に代表されるように、事前に申請して指定された時間に参加するようなものが多く、公園に出かけるような感覚で、あるいは買い物帰りに、気軽に行けるようなスペースはきわめて少なかった。 今回予算案inに示されている「親子交流の場設置事業」は、地域の親子がいつでも気軽に集える「つどいの広場事業」をさらに拡充し、これまでの1市町村1箇所、1年度限りの補助といった制限を撤廃し、府として、地域における在宅の子育て家庭支援を一層充実させてゆく考えだと認識しています。 そのような認識でよいのかどうか、「親子交流の場」事業の内容や、どのような効果を狙ったものなのか詳しくご説明ください。

答弁:

○ 「親子の交流の場設置運営事業」は、主として乳幼児を持つ地域の親子がいつでも気軽に集える屋内スペースを提供し、そこに常駐のアドバイザーを配置して、育児アドバイスや子育て支援の情報提供等を行う事業である。 ○ 事業主体は市町村であるが、運営については、社会福祉法人やNPO法人、また子育てサークルや個人等に委託することも可能である。 ○ 本事業の効果としては、アドバイザーによる相談、あるいは、子育て中の親が集い交流する中でできた仲間同士での励ましやアドバイスなどにより、子育ての負担感や不安感が解消されることがある。 ○ さらに、本事業を実施している開かれたオープン的なスペースが、親子が気軽に集う場所として、地域に密着すると、子育てサークルや、子育てを支援する側のNPO・ボランティアなども集まり、民間指導で様々な子育て支援活動が展開されるきっかけにもなることが見込まれる。

質問:森みどり

同趣旨の事業である「つどいの広場事業」が14年度と15年度に行われていますが、補助期間が立ち上げの1年間のみであり、地域での定着が難しかったと思うのです。そのことは、この事業を実施されている市町村が大変少なかったことにも現れていると思います。今回の「親子交流の場設置事業」は、それとは違って、地域の子育て支援を充実する上で、大きな柱の一つとして、位置づけられるものと期待しています。 けれど予算案に示されている予算額を見ますと、ずいぶん少ないですね。先程の趣旨を踏まえ、それを実現するにはこれではまったく不十分だと思いますが、いかがですか。

答弁:

○ 「親子交流の場設置運営事業」は、お示しのとおり、在宅の子育て家庭の支援策の一つの柱となる事業と考えており、そのため、地域の身近な場に設置されるよう、1市町村1か所といった制限も撤廃し、事業の推進に努めてまいりたいと考えている。 ○ 平成16年度の予算額については、これまでに、「つどいの広場事業」を実施した4か所が引き続き、事業実施すると想定して予算化している。 ○ これは、事業を創設した場合、市町村は、府が事業化した内容を検討した上で、2年目以降に予算化し具体化を図ることが一般的であることから、府としては、17年度から本格的に事業の具体化が図られるものと考えている。 ○ なお、市町村が16年度から事業化する場合は、府としても必要な支援を行っていけるよう検討してまいりたい。

質問:森みどり

現在、子育て家庭では、身近に気軽に相談できる相手や仲間がいないことなどによって、子育てに負担感や不安感が増大していることは、先程も申しましたが、それゆえに少しでも話ができるような場があれば、自然に若い母親がたまりだしているという例や、今の問題の深刻さを実感している先輩の女性たちの中にも、何かできることがあればけサポートしたいという方たちも増えています。 このような人たちに、うまく出会ってもらえる場として、この「親子交流の場」事業の推進が重要だと思います。 今後この事業を大きく前進させていくために、実施主体の市町村に対して、設置を強く働きかけていただくとともに、必要な予算を確保して、市町村をしっかり支援していただきたいと思います。

答弁:

○ お示しのように、子育て支援と児童虐待の防止は、表裏一体。私ども家庭支援課は児童虐待対策の所管課でもあり、子どもの最大の権利侵害である児童虐待を発生させてはならないとの思いで、市町村とも協力しながら、全力で虐待防止対策に取り組んでいる。in子育て支援については、このような視点からも、一層の充実に努めたいと考えている。 ○ 「親子交流の場設置運営事業」はこれまで地域に殆どなかった親子が気軽に集える場所を提供しようというもので、いわば子育て支援の空白部分を埋める新しい事業であり、子育て中の親子への有効な支援策ととらえ、是非とも各市町村で積極的に取り組んでいただきたいと考えている。 ○ このため、事業の推進にあたっては、平成16年度中に、市町村が次世代育成支援対策推進法に基づき、「行動計画」を策定する際に、本事業の推進を、計画に位置づけるよう強く働きかけるとともに、府としても、必要な予算を確保し、市町村の支援に努めてまいりたいと考えている。

4.動物相談窓口の一元化について

質問:森みどり

2000年12月に「動物の愛護および管理に関する法律」が改正施行され、大阪府では2001年7月に「大阪府動物の愛護および管理に関する条例」を施行しました。 今、ペットブームとともに動物の愛護への関心が高まっています。が、大阪府の動物行政の現状は、野生動物の所管は環境農林水産部であり、ペットについての対応は健康福祉部と、それぞれの法律の根拠に基づきその所管が分かれています。これは府民にとっては大変わかりづらく、動物に関する組織の一元化について、昨年の9月議会で我が会派の関議員が一般質問を行いました。 その際、知事が「もっとも効率的かつ効果的な体制を鋭意検討していく。なお、当面の対応として動物に関する相談窓口を早急に一元化する。」という答弁をされましたが、いまだに府民に対する周知がなされていません。 なぜ、立ち上げが遅れているのですか。

答弁:

○9月議会においてご指摘をいただいていたとおり、「動物愛護法」(動物の愛護および管理に関する法律)と鳥獣保護法(鳥獣の保護および狩猟の適正化に関する法律)など、動物に関する法律の狭間にあるような問題が生じているため、こういった問題に関する府民からの相談に適切に対応する窓口を早急に設置すべく、関係部局とともに検討を進めてきたところ。 ○窓口がより実効あるものとなるよう、特に問題となっているアライグマを始め様々な動物に関する対応について、健康福祉部と環境農林水産部両部の間で協議を行うほか、動物に関する関係団体の意見を聴取するなど、種種の課題について調整を行ってきたところ。 ○こうした調整を踏まえ、相談窓口の設置について調整を行っていたところ、高病原性鳥インフルエンザ問題の発生により、両部が緊急的に対応しなければならない事態が生じたことから立ち上げが遅れているところ。 ○早急に相談窓口を開設し、府民に周知できるよう、現在、細部の詰めを行っているところ。

質問:森みどり

いま、高病原性鳥インフルエンザ問題の発生により、立ち上げが遅れたと言われましたが、逆に、この相談窓口が早期に開設されていれば、今回の問題の対応にもずいぶん役立ったのではないでしょうか。今回のことで野鳥やカラスに対する府民の不安を的確にキャッチし、対応することもできたと思うのですが。 その意味からも、窓口一元化が急がれると思うのですが、健康福祉部として、動物に関する相談窓口の一元化を、いつ、どのような形で実施しようと考えているのですか。その際には、専任の職員を配置するなど、ぜひとも実効ある相談体制にすべきだと考えますが、いかがですか。

答弁:

○動物に関する新たな相談窓口の設置にあたっては、法律のはざまの問題を含め府民からの相談に対してきちんと責任ある対応ができるよう、また、府民にとってできるだけ分かりやすいものとなるような工夫が必要と認識。 ○このため、3月中に動物に関する専用の相談窓口を設けるとともに専用電話を設置することとし、府のホームページ等において積極的にPRを図りたいと考えている。 ○また、具体的な運営に当たっては、動物問題を所管inする健康福祉部と環境農林水産部両部の職員が、その窓口において府民の動物に関する様々な相談に対応できるよう体制を整えるとともに、適正な運営に向けて専任の職員を配置できるよう努めてまいりたい。

要望

相談窓口は当面の体制としてやむを得ないものと考えますが、府民に対して行政として責任ある対応ができるよう、これを第一段階として、早急に組織の一元化へ向けた検討を進めるべきだと考えます。 少なくとも平成16年度中には動物行政の一元化ができるように、健康福祉部としても、積極的に関係部局に対し検討を働きかけるよう要望しておきます。

5.スモン合併症患者への支援策について

質問:森みどり

スモンは、1955年頃から散発し、1967年から8年にかけて、大阪府、東京都、愛知県、岡山県、徳島県などで多数発生し、特に地域、家族、病院内における集団発生によって社会的にも問題になりました。 スモンの病因がキノホルム中毒であることが判明するまでには、感染説(特にウイルス説)、代謝障害説、農薬中毒説、重金属中毒説などがあり、原因がわからないまま「奇病」として恐れられ、また著しい差別がありました。特に感染説(ウイルス説)が発表されたときには、自殺者が相次ぐという状況があり、患者さんや家族の方々がなめた辛酸は筆舌に尽くしがたいものでした。 スモンが、整腸剤「キノホルム」を服用したことによる副作用だと考えられ、1970年9月に厚生省が「キノホルムの我が国における製造販売及び使用停止」を決定し、ようやく新たな患者の発生がみられなくなりました。 スモンの原因が判明したことにより、スモンの患者会の活動は「薬害被害者」としての権利回復、そして二度とこのような薬害を起こさないという「薬害根絶」の二点を大きな目標として、全国33地裁、8高裁で薬害裁判が闘われ、原告数は7561名に達しています。 スモン裁判は、その規模と成果において日本の薬害裁判史上特筆すべき地位を占めているといわれる、このスモン被害者の運動は、1979年の薬事二法成立の原動力になり、同年9月東京地裁の斡旋によって国及び製薬企業がその責任を認めるという、和解が成立しました。当時の厚生大臣が謝罪するとともに、被害者救済の道筋を定めた確認書に調印し、患者さんの被害救済が図られるに至りました。 スモン発生から半世紀近くが経過し、今なおこの病気で苦しむ患者さんは、全国で少なくとも2000名はいるといわれていますが、大阪府のスモン対策の現状はどのようになっているのか伺います。

答弁:感染者・難病対策課長

・スモンは、通常両足の痺れ感や異常感、脱力感から発症し、両下肢の異常感、痛み、歩行障害などの神経症状が慢性固定化する疾患であり、府内には、現在197名の患者さんがいらっしゃいます。 ・このスモンの患者さんには、特定疾患医療費援助事業として、医療費を公費負担しているほか、各保健所において、難病対策事業として訪問事業等を実施しています。 ・特にスモンについては、他の疾患と異なり、全ての患者さんについて、医療費の全額を公費負担していることに加え、はり、きゅう及びマッサージの施術費用も公費負担しています。 ・この他、私(感染者・難病対策課長)自身が厚生労働省の「スモンに関する調査研究班」の分担研究者として、患者の皆さんと連携しながら、毎年、「スモンセミナー」の開催や府内の専門医のご協力をいただいて「スモン検診」を実施するなどの取り組みも行っています。

質問:森みどり

私もスモンの患者さんにお会いして、いろいろとお話を伺う機会がありますが、両足を中心としたしびれや痛み、冷え、しめつけ感などの異常な感覚を訴える患者さんが多数おられます。加えて患者さんの高齢化により、さまざまな合併症を発症される方も多いようです。 また、先日、ほんのちょっとした段差を踏み外し、骨折inされた方がおられましたが、これとても、スモンによる足の感覚の麻痺が原因といえるわけです。 今後のスモン対策は、患者さんを取り巻くこのような状況の変化をふまえて実施されるべきだと考えますが、大阪府として、今後の施策展開において解決すべき課題について、どのように考えておられますか。

答弁:感染者・難病対策課長

・スモンの患者さんにとりましては、全身病的な特徴を有すること及び原因が判明してから約30年を経過し、患者さんの高齢化が進行していることから、加齢による種々の合併症が発生しており、このような状況を踏まえた事業の展開が重要と認識しています。

質問:森みどり

患者さんの高齢化及びそれに伴う合併症については、認識していただいているようですが、患者さんからは、合併症の診断が医師によって様々であり、一部には、合併症について医師が十分な理解をされていないと訴えられる患者さんもおられます。 患者さんの高齢化及びそれに伴う合併症の治療について、積極的な支援を実施すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

答弁:感染者・難病対策課長

・合併症について、厚生労働省は、患者さんの高齢化に伴い「主たる神経症状をはじめとして、循環器系及び泌尿器系の疾病のほか、骨折、白内障、振戦、高血圧、慢性頭痛、めまい、不眠、膝関節痛、腰痛など、歯科疾患も含め、今なお様々な症状を幅広く併発する状況にある」としています。大阪府としましては、これを踏まえ、その旨を全関係医療機関に周知するとともに、大阪府医師会等の協力を得て医師会会報等に「スモンに限り、幅広く併発する傷病についても公費負担の対象となる」旨を掲載していただき、広く周知しています。 ・また、スモンの合併症の治療に係る患者さんからの問い合わせに対しても、患者さんの了解を得たうえで主治医に連絡し、患者さんの状況を伝え、幅広く併発する傷病についても、公費負担の対象となることを十分に説明するなど、合併症の治療についての環境整備に努めています。 ・また、「スモンに関する調査研究班」として実施しています「スモンセミナー」においては、「介護保険制度」や「鍼灸治療」など、患者の高齢化に応じた話題を積極的に取り入れています。 ・今後とも、厚生労働省と緊密な連携を持ちながら、スモンの患者さんの意向を十分に踏まえた事業を実施し、患者さんのQOLに努めてまいります。

要望

スモンはあくまで薬害です。この点において他の難病とは決定的に違い、スモン対策における国の責任は重く、それにふさわしい役割を果たすべきですし、そのように国に対して引き続き働きかけていただきたいと思います。 しかし、大阪府もスモン対策を実施する立場から、患者さん一人一人の要望を真摯に受け止めて誠実に対応していただきたいと思います。とりわけ、スモンの合併症については、厚生労働省が認める症状においても、治療にあたる医師によって、認められたり認められなかったりという不徹底さが、現実に起こっています。この問題については、医師の判断に任せるのではなく、スモン合併症としてきちんと対処されるよう、まずは大阪府がきっぱりとした立場をとっていただくことを強く要望して、質問を終わります。