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森みどりの府議会レポートNo.17 > 2005.9月議会質問


《生活文化部》

「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する基本計画」について

Q1

2004年12月2日「配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)」が改正施行され、国の基本方針や自治体の基本計画が、次々と策定されたにもかかわらず、DV犯罪は一向に減少していません。

DVは重大な犯罪であり、人権侵害です。被害者は、理不尽にも住み慣れた住居を奪われ、時には仕事も奪われ、精神的にも追い詰められます。さらに子どもたちの未来も奪います。

このような卑劣な犯罪行為を、根絶やしにしていくため、あらゆる対策をとらなければならないと考えますが、大阪府におけるこれまでのDV対策の経過と取り組みを伺います。

A1

本府では、従来、女性相談センターにおきまして、保護を要する女性からの電話相談、面接相談を行うとともに一時保護も実施してきました。

また、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の施行に先立ち、『女性に対する暴力』が緊急かつ重大な社会問題であり広範な対応が必要なことを踏まえまして、平成12年9月に府の関係課、警察本部及び女性相談センターなどの関係機関から構成される大阪府「女性に対する暴力」対策会議を設置し、全庁的な取組みを行ってまいりました。

平成13年4月の配偶者暴力防止法の成立を踏まえまして、平成14年4月に、女性相談センターを中核として、大阪府内7か所の子ども家庭センター及ドーンセンター内DV相談コーナーの併せて9か所に配偶者暴力相談支援センター機能を設けたところでございます。 それにより被害者の救済に関し、府内全域をカバーできるようにするとともに、被害者の子どもへの対応を含めまして、迅速な連携及び対応が可能となるような体制の整備に努めているところでございます。

お示しの今回の法改正により、暴力の定義が拡大されるなどの変更がされた訳ですが、とりわけ配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関し、国は基本的な方針を、都道府県は基本的な計画を定めることが新たに義務付けられたところで、これに基づいて現在基本計画を策定中でございます。

Q2

大阪府の基本計画も準備中とのことですが、策定状況はどのようになっていますか。

A

「基本計画」の策定につきましては、先ほど申し上げました大阪府「女性に対する暴力」対策会議において、特に配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護施策に関係の深い、男女共同参画・福祉・教育・警察などの関係課(所)及びそれに加えまして労働・住宅関係所管課によるワーキンググループを立ち上げて検討を行ってまいりました。

そして、その検討結果を踏まえ、同対策会議で素案として取りまとめた上、7月20日から8月19日の間、パブリックコメントを実施したところであり、今議会でのご意見を踏まえまして、本年11月に基本計画を策定、公表する予定となっております。

Q3

DVの防止や被害者への支援を適切・効果的に実施するためには、大阪府だけではなく、市町村をはじめ関係機関・団体との協働・連携が不可欠です。また、NPOをはじめ一般市民の理解や協力も重要です。

基本計画はこのようなことに関して、どう対応していますか。

A3

ご指摘のように、被害者の保護及び自立支援を円滑に行うには、市町村をはじめ関係機関・団体との協働・連携が不可欠でございます。

また、配偶者からの暴力に関しましては、府民の理解・協力も重要であることから、被害者と接する様々な立場の方々にこの計画をマニュアルとして活用していただけるように具体的な協力の内容を盛込むことも基本姿勢としながらとりまとめてまいりました。

このような考えに基づきまして、策定中の基本計画では被害者の立場に立って、まず『いのち(生命)、からだ(身体)の安全の確保のために』、二つ目に『安全と安心の維持・確保のために』、三つ目に『安全で安定したくらしのために』、という緊急度に応じた三つの場面を想定した大阪府独自の構成により、各場面に応じた内容を関係機関や府民の理解と協力が得られるよう、分かり易くとりまとめることを心がけております。

Q4

各場面に応じた府の施策を具体的に書かれているのは大変わかりやすくていいと思います。

ただし、計画を策定するに当たっては、被害当事者の声や、実際に支援活動をおこなっている民間支援団体などの意見を反映させることが不可欠であると考えますが、その点はどうですか。

A4

民間の支援団体等の中には、配偶者暴力防止法が制定される以前から、配偶者からの暴力の問題に取り組むなど、被害者保護のための豊富なノウハウを有し、積極的に被害者の保護を行ってきたところもございます。

又、国の基本方針にも「基本計画の策定に当たっては、被害者の保護に取り組む民間団体等広く関係者の意見を聴取することが望ましい。」と記載されております。

このようなことも踏まえ、大阪府においても、民間シェルターなどの関係団体と本年の6月16日及び8月24日に意見交換会を行い、民間シェルターの現状や配偶者暴力防止法の問題点などについて、ご意見、ご助言をいただいたところでございます。

また、7月20日から8月19日の間、基本計画(素案)に関しまして、パブリックコメントを実施したところ、154通のご意見等が寄せられております。

現在、パブリックコメントでいただいた意見等と併せまして、基本計画の策定にどのように反映できるか検討を行っております。

なお、被害者本人からの意見聴取については、いわゆるDV被害には様々なケースが考えられることから、相談員・民間シェルター等、日頃から被害者に接している方からのご意見をお聞きいたしました。

Q5

基本計画において、大阪府はこれからどのような施策に力を入れていこうとするのか、府としての姿勢ならびに、新たな施策もあわせてお答えください。

A5

府としては、従前から、大阪府「女性に対する暴力」対策会議を活用し、全庁的な取組みを行ってきましたが、基本計画を総合的に推進するためには、庁内関係部局の連携強化はもちろんのこと、市町村及びNPO等民間団体とのより一層緊密な連携を図ることが不可欠であると考えております。

これまでの、基本計画の策定過程において検討した新規施策は多岐に渡りますが、各部局の施策をいくつか紹介します。まず、すでに本年4月から『大阪府警察再被害防止等支援業務』が先行運用されております。 これは、府警において配偶者暴力事案等の被害者等の安全確保に向けて被害者の同意の下に被害者情報を登録して迅速に対応することにより、再被害防止等の支援業務を行うものです。

また、それ以外の本年度中の新規施策の主なものとしましては、建築都市部と健康福祉部が連携し、府営住宅を活用した支援があります。 これは、府営住宅を活用し、配偶者からの暴力による被害者が一時使用するための住戸を提供し、あわせて生活に必要な用品を貸与することで支援するものでございます。

又、教育委員会では非暴力コミュニケーション能力の養成を計画しています。 これは、子どもを暴力から守る指導法について開発し、子どもを暴力から守り、児童・生徒が暴力に頼らないコミュニケーション術を身に付ける手法を学ぶものでございます。

今年度の主な施策として以上のとおりでございます。

Q6

自立のためには安心して暮らせる住まい、そして就労が必要ですが、府営住宅の活用について、また、暴力の連鎖を断ち切るためにも、暴力によらないコミュニケーションの方法を身につけていくのは大切なことで、どちらも会派要 望で取り上げていましたが、17年度中に府営住宅の活用が具体化し、子どもたちが非暴力コミュニケーションスキルを学ぶことを保障できるのは、大変喜ばしいことです。

では、被害者の身近な窓口となります市町村との連携がこれからますます重要となりますが、大阪府はどのような支援策をとられるのですか。

A6

改正「配偶者暴力防止法」において、「国及び地方公共団体の責務に被害者の支援」が明記されるとともに、「市町村でも配偶者暴力相談支援センターの業務が可能となる。」など、府民が最も身近に接する、市町村の役割は極めて重要であると認識しております。

そのため、新たに「大阪府・市町村配偶者からの暴力対策所管課長会議」を本年5月に立ち上げるなど、連携の強化に努めております。

また、今年度当初、「女性に対する暴力対応支援マニュアル」を策定し市町村に配布した他、「市町村窓口等担当者向け研修」を新たにの実施することとしております。さらに「支援センター設置に関するノウハウの提供」も積極的に行ってまいりたいと存じます。

Q7

「支援センター」については、大阪府がもっているノウハウを惜しみなく提供していただくとともに、個々の事例に応じて適宜連携して取り組める体制も合わせて、よろしくお願いします。

また、被害者支援については、府県を越えて逃げてこられたり、加害者からできるだけ離れたところで、再出発を希望されるケースなどもあり、広域連携も重要です。関西圏など府県等の広域連携の現状及び今後の方針をお聞かせください。

A7

広域連携につきましては、本年9月に内閣府主催の男女共同参画担当近畿ブロック会議を大阪府が本年の担当府県として開催し意見交換を行いました。 また、健康福祉部におきましても、13都道府県婦人保護主管課長会議及び婦人相談所長会議において、国に対する要 望、各自治体間での意見交換を行うと聞いております。

被害者の意向による他府県への移送、一時保護については、受入れ及び移送の費用等について厚生労働省から指針として「基本的な広域的対応の取扱い」が示されております。

しかし、被害者支援のためには、特に、広域連携が不可欠であり、全国統一のより具体的なルールが必要なことから、先週開催された全国知事会男女共同参画特別委員会で国に対する要 望を行いましたが、今後とも様々な場を活用し、引き続き国に対し要 望を行ってまいりたいと存じます。

要 望

ドメスティックバイオレンス、配偶者や恋人からの暴力は、家庭内で起こることや、親しい間柄であるゆえに、長い間、法の介入はなじまないものと捉えられてきました。けれどいくら親しい間柄であっても、夫婦間であっても、相手を暴力でねじ伏せるなどの行為は決して許されるものではありません。しかし家庭内という密室で繰り返されるため、潜在化しやすく、容易に見つからないため、加害者の行為がエスカレートしやすく、にもかかわらず罪の意識が薄いという傾向があります。また長年にわたり暴力を受け続けた被害者は、自らの自尊感情を踏み潰され、暴力におびえ「自分さえ我慢すれば」とか「自分が悪いからだ」というような心理状態に陥ってしまいます。暴力が絶えず繰り返される家庭で、不幸にも育ってしまった子どもたちもまた心に深い傷を負ってしまいます。時には親から直接暴力の被害を受けることも少なからずあるでしょう。物心ついたときから、親同士、親子間の暴力を直接、間接に受けて育つことで、「暴力」が一番手っ取り早いコミュニケーションの手段だと思い込んでしまう結果にもつながります。本当に悲しく恐ろしいことです。

このような暴力の連鎖、暴力による支配を断ち切るため、数多くの女性たちの献身的な取り組みにより、2001年10月にようやくDV防止法が施行され、3年後の昨年12月改正が行われました。これにより、配偶者からの暴力を防止し、被害者の身体生命の安全確保、保護を図ることが、社会全体でとりくむべき課題として位置づけられ、取り組みがすすめられています。

大阪府も先ほど質問してまいりましたように、さまざまな施策を行っていただいているところですが、あらゆる暴力を許さない、一人一人の人間の尊厳を守るという観点で、今後も一層の対策の充実をお願いします。

特に被害者が、いつでも、どこでも、どんなときにでも相談ができるということは、被害をより深刻化させないためにも大変重要であると考えます。 大阪府の現状は、夜間の相談は午後8時まで、また、土日は対応できているものの祝日には相談窓口がありません。相談体制の充実・強化を図られるよう、要 望しておきます

《教育委員会》1.子どもの「確かな学力」保障について

Q1

日本の子どもたちの「低学力」問題が、議論になっています。昨年12月に「OECD生徒の学習到達度調査」(PISA2003)と「国際数学・理科教育動向調査」(TIMSS2003)の結果が相次いで報告されて、マスコミが一斉に日本の子どもたちの学力が低下したと報じました。けれど調査をじっくり見ると報道から受ける印象とずいぶん違います。平均点で見る限りは、読解力を除くと、日本は加盟国の上位1割に入る高学力です。競争社会の理想として語られるアメリカやイギリスよりずっと上位です。が、問題は、読解力についての落ち込みと低学力グループ群が増えてきていることです。たとえば読解力において1位のフィンランドでは、到達度におけるレベル1未満というきわめて低学力の層が、1.1%、2位の韓国では1.4%、3位のカナダでは2.3%であるのに対して、日本は7.4%と、OECDの平均6.7%よりも多くなっています。そして同時に行われた生活実態調査では、授業以外の勉強時間が日本では週平均6.5時間でOECDの平均8.9時間より短いのです。それに比べテレビを見る時間は、小学4年生で1日平均2.0時間と国際平均の1.7時間より多い。中学2年生になるとさらに増えて2.7時間にもなり46カ国中最大です。さらに勉学意欲についても中学2年生で「数学の勉強が楽しいか」という問いに強くそう思うものは日本では9%であり、国際平均の29%よりもきわめて低くなっています。「低学力問題の本質はここにあるのではないか」とフィンランド教育の研究者である都留文科大学教授の福田誠治さんはおっしゃっています。

学習への意欲や勉強をすきと思う割合がずいぶんと低下してきていることにこそ問題があると、私も思います。文部科学省や大阪府教委が提示されている「確かな学力」とは人間が生きていくために必要な自立していく力であり、学ぶ意欲を伸ばしていくことであると考えますが、その「確かな学力」を育成していくために、大阪府教育委員会として、どのようなことに重点を置いているのでしょうか。

A1<小中学校課長>

子どもたちが社会の変化の中で主体的に生きていくために必要な基礎・基本をしっかりと身に付け、学ぶ意欲、思考力、判断力、表現力等まで含めた真の意味での学力をはぐくみ、生涯にわたって主体的に学び続け、問題を解決していくことができる「確かな学力」を育成していくことが必要である。

そのためには、一人一人の個に応じた、きめこまかな指導により、学ぶことの楽しさを体験させ、わかる授業をすすめていくことが必要であると考える。

Q2

おっしゃるとおり「ひとりひとりの個に応じた、きめこまかな指導により、学ぶことの楽しさを体験させ、わかる授業を進めていくこと」がまさに必要です。子どもの確かな学力を保証するのは、これは基本的に学校の役割であり、毎日の授業の充実が基本であると考えます。ところが、現実に学校現場に目を向けると、人間関係がうまくとれない子どもたちの増加や不審者への対応など新たな教育課題が次々と生じ、学校や教職員に求められる役割が増大しています。それらさまざまな課題への対応に追われ、本来大切にすべき、子どもが「わかる授業」を行うために教員がじっくりと教材研究ができる時間や、子どもたちひとりひとりを理解するために「子どもたちと向き合い、触れ合える時間」を十分に確保できないといった声を、よく耳にします。

府教委はこのような学校現場の現状をどう認識していますか。

A2<小中学校課長>

完全学校週5日制の実施に伴い、各学校では、確かな学力を保障するため、行事の見直し等により授業時間数の確保に努めている。

一方では、少人数指導やチームティーチングといった複数教員による授業、総合的な学習の時間などが導入され、従来にも増して、教材研究や授業内容の打ち合わせなどに費やす時間が増加している。

しかしながら、いじめや不登校、学級崩壊といった課題への対応や、学力向上、国際化、情報化への対応、さらには、地域連携、学校の安全確保への対応など、学校は、多くの課題に直面しており、時間的な余裕が少ない状況の中、現場の先生方が、日々奮闘・努力していただいていることは十分認識している。

Q3

「いい授業をするには、教える時間の最低3倍の準備時間が必要だ」といわれています。子どもたちの状況もふまえ課題を設定し、授業の組み立てを考え、必要な教材教具を準備していく。子どもたちがどのぐらい理解ができているのか、ひとりひとりきめ細やかに把握していくことや、子ども自身の課題や問題を見ていくために、じっくり触れ合える時間も要ります。それに加えて先ほど述べましたように、不審者への対応をはじめ、子どもをとりまく家庭や社会の状況の変化によってさまざまな課題が学校に持ち込まれてきます。一つ一つを見れば、どれも大事な問題であり、おろそかにはできません。けれどすべてに取り組むには時間がいくらあっても足りません。

教員が本来の教育活動に費やす時間を確保するため、府教委では、これまでどのような取り組みをされてきたのでしょうか。

A3<小中学校課長>

府教委では、教員が児童生徒一人ひとりと語り合う時間を多く持ち、きめ細かく指導することができるよう、学校が学校外から 依頼される様々な事務等の軽減を図る取組みを進めてきた。

まず、府教育委員会からの各学校や市町村教委に対する通達等の精選、簡素化に取り組み、計画的な文書発信、重複を避けるための各課調整、調査及びアンケート実施の精選、簡素化等に努めている。

また、学校における事務処理の効率化に資するため、これまで府教育委員会が府立学校等に対して発信した通知等の文書を集めた通知集の編纂を進めている。

さらに、市町村教委に対しても、府教委の取組みの周知を図り、同趣旨の取組みがなされるよう働きかけるとともに、学校における会議等の精選や教職員の事務に関する負担の軽減に努めるよう通知したところである。

Q4

この問題は、府教委側からのアプローチだけではなく、自らの課題として学校現場でも取り組まなければならないことだと考えます。教育活動に専念する時間を生み出すため、学校ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。

A4<小中学校課長>

府立学校においては、業務をより計画的かつ効率的に推進し、教職員の健康の保持・増進と心身の休養を図るため、平成7年4月から、学校長をゆとり推進責任者として、毎週水曜日と毎月20日を「ゆとりの日」と定め、全教職員が定時退庁に努めることとしている。

また、毎年5月及び8月に「ゆとり週間」を設け、期間中は勤務時間外にわたる学校行事を行わないなどの取組みを実施している。

導入以来、各学校において、学校長の指導のもとに、ゆとりの日の実施・推進に取り組まれている。

また、市町村教委に対しては、府教委の取組みの周知を図り、同様の取組みを促している。

要 望

「ゆとりの日」をいくら制度としてつくっても、仕事の絶対量が減らなくてはどうしようもないというところがあります。とりわけ小・中学校では深刻な状況にあります。

たとえば小学校では、平均的な学校で学級数が13学級に対して、教員は17人程度の配置です。そうすると管理職を除くと、担任外の教員は2人しかいないということになります。ほとんどの教員は学級担任として、1日の授業時間を教室内で子どもの指導に当たります。その後のいわゆる放課後が、子どもからの相談や、けんか・揉め事の後始末、学習の遅れがある子どもたちへの個別指導など、きめ細やかな教育にあてる貴重な時間となってきます。この時間を他の課題対応のために使わざるを得なくなることで、本来の教育活動が十分にできないというジレンマに陥るわけです。

実際に、大阪の教職員の時間外労働は、始業前、勤務終了後の居残り仕事、そして持ち帰り仕事あわせて、1日あたり平均3時間という調査結果もあります。これは平均ですから、中学校などで生徒指導や部活動などの取り組みが合わさると、夜の9時、10時まで学校で仕事をしているという教員がざらにいるそうです。

このような状況をふまえると、小中学校への指導権限を持つ市町村教委の取り組みが重要であり、府教委も、単に府の施策を周知するだけではなく、市町村教委の取り組み状況を把握するだけではなく、市町村を強く指導していただくよう要 望しておきます。

Q5

そして同時に、学校自身が主体的に運営の改善に着手すべき時期がきているのではないかと、考えます。

たとえば、学校が小規模化し、教職員数も減少する一方で、校務分掌のありようが従来のままであるため、教職員一人当たりの負担が以前よりも大きくなっているのも事実です。あるいは、次々に直面する新たな課題に対して、従来どおりの校務分掌では、機能的に対応できないという場合もあります。学校運営を思い切って見直すことで、さまざまな課題に対して、柔軟かつ的確に対応できる分掌を構築できれば、その分、子どもの教育の充実のため、たとえば教材研究や授業準備などに用いる時間が増やせたり、直接子どもの話を聞く時間を十分にとることなどができるのではないでしょうか。

このような検証は、当然、校長のリーダーシップの下で、学校が主体的に取り組みことではありますが、教育行政の立場からも、学校での取り組みを促し、積極的に支援していくような施策が必要だと考えますが、いかがですか。

A5

学校運営の問題は、学校長が中心となり、教職員が主体的に取り組むべき課題ではあるが、委員ご指摘のように、教員がゆとりを確保しつつ、児童生徒一人ひとりとじっくり向き合う時間を確保することや、教育の充実に力を注ぐことができる環境を整備することは、大きな意義があると考えられる。

また、学校が主体的に運営改善を進めるためには、学校だけで取組みを進めるのではなく保護者や地域の協力を得ることも大切である。

府では、「学校教育自己診断」や「学校協議会」などの取組みを推進してきた。今後は府内のすべての公立学校が、これらの仕組みも活用して、子どもの教育の充実のため主体的に学校運営を改善することが必要である。

あわせて、府教育委員会としても、委員ご指摘の点も踏まえ、今後、関係機関等の意見も聞きながら、どのような施策を実施できるか、また、どのような施策が効果的かという観点から、積極的に検討を進めてまいりたい。

最後に

学校自身が運営の改善に取り組むことは、教員一人一人の意識改革を進める上でも重要だと思います。しっかり検討して、学校の取り組みを支援する体制を整えていただきたいと思います。

2.特別支援教育

Q1

障害のある子どもの教育については、「今後の特別支援教育のあり方」(最終報告)において、いわゆる「特殊教育」から「特別支援教育」への転換が提起されています。

全国に先駆けて「共に学び、ともに育つ」教育を進めてこられた大阪府としては、特別支援教育について、どのように考えておられるのかお聞かせください。

A1

大阪府におきましては、平成15年3月に策定した第3次大阪府障害者計画の  中でも示されておりますように、障害のあるなしにかかわらず、すべての幼児・児童・生徒が「共に学び、共に育つ」ことを基本とした障害教育を展開してまいりました。

「特別支援教育」は、従来の障害教育の対象となっておりました幼児児童生徒に加え、通常の学級に在籍しているLD,ADHD,高機能自閉症等の幼児児童生徒に対しても適切な指導及び必要な支援を行うものであります。 障害のある幼児児童生徒を学校全体で受け入れ、地域の仲間とのつながりを大切にした「ともに学ぶ場」としての学校の位置づけのもと、一人ひとりの教育的ニーズに対応した教育を行っていくことが求められていると考えており、今まで大阪が大切にしてきたことが、特別支援教育でもうたわれているものと捉えております。

Q2

障害のあるなしにかかわらず、一人ひとりの教育的ニーズに対応した教育を進めるために、これまでも教育現場ではさまざまな努力を重ねてこられたと思います。そのことが「特別支援教育」のベースになるというのは、すばらしいことだと思います。

従来の障害児教育に加え、今まで通常の学級で学んできたLD、ADHD、高機能自閉症等の幼児・児童・生徒に対しても適切な指導及び必要な支援を行うということですが、場合によっては問題を抱えている子どもに対し、安易にLD、ADHDであるからというような判断を下してしまったりするようなことが起こらないかと危惧します。府としては、どのように特別支援教育を進めていこうとしているのか、お尋ねします。

A2

府といたしましては、子どもの実態把握を行う場合においては、一方的に判断を下すのではなく、一人ひとりの子どもが尊重され、子どもの視点に立って幼児児童生徒の教育的ニーズを把握した上で、具体的な指導の手だてや支援体制の整備を行うように市町村に対し指導しております。

特別支援教育の推進にあたりましては、特別支援教育の指導体制の中心的な役割を果たす人材(特別支援教育コーディネーター)の育成を行うとともに、一人ひとりの子どもについて校内外の支援の在り方等を検討する校内委員会の設置を進めてまいります。また、保護者や教職員からの相談を受け、学校の支援を行う相談支援体制の充実を図るとともに、個々の教育的ニーズに適切に対応できるよう教職員の専門性の向上にも取り組んでまいります。

Q3

障害の有無だけではなく、家庭環境も含めて、さまざまな課題を抱える子どもたち、ひとりひとりの特別な教育ニーズに応じた支援と指導を行う教育、すなわちインクルーシブな教育を行うために、市町村ではさまざまな工夫がなされているのはご存知だと思います。「ともに学び、ともに育つ」教育を土台にした「特別支援教育」を進めていくに当たっては、府としても、人的な支援策が必要だと考えますが、いかがですか。

A3

知的障害のある生徒の高等学校への受入れについては、本年8月の府学校教育審議会の答申を踏まえ、これまでの調査研究を継承する方式である「自立支援推進校」として9校、調査研究の趣旨を活かした方式である「共生推進モデル校」として、枚岡樟風高等学校とたまがわ高等支援学校(仮称)各1校を指定し、実施する予定としています。

配置にあたっては、地域バランスを保ちながら、各校の障害教育に対する取組みや生徒の諸活動等さまざまな観点から検討し、現調査研究校5校に加え、総合学科3校と普通科総合選択制2校を指定したところです。

府教育委員会としましては、新たに指定した学校を対象とした調査研究校での見学会や研修会を開催するなど、これまでの取組みや成果を引き継いだ円滑な実施に努めてまいります。また、今後とも、各校における進捗状況と意見を踏まえながら、適切な支援の検討に努めてまいります。

Q4

次に高等学校への知的障害生徒の受け入れについても関連して質問します。先日、わが会派の徳丸議員からも詳しく質問されましたが、来年度より、5校から9校へと増えたことは評価したいと思います。

しかしながら、進学希望者は年々増え、希望しても入れない子どもたちがまだまだたくさんいます。この取り組みをすべての高等学校に広げていっていただきたいと強く望んでいますが、今回、府立高校でもっとも多い普通科高校での実施がなかったことは大変残念です。今後はぜひとも普通科高校にしっかり広げていくよう、お願いしたいと思います。そのためにも、今回新たに実施される学校には十分な支援が必要だと思いますが、いかがお考えですか。

A4

府においては、平成19年度末を目途に、府内全ての小・中学校において支援体制が整備されることを目指して、特別支援教育コーディネーターの養成を行っております。 また、市町村におきましては、学習支援員、介助員等、様々な形で独自の施策として取り組んでいただいていることは承知しております。 府としましても、平成17年6月の「教育・文化に関する国の施策並びに予算に関する提案・要 望」におきまして、「障害のある幼児児童生徒の教育」についての人的措置を国に要 望しております。

今後、特別支援教育の制度化をめぐる国の動向も見極めながら、府としてもどのような支援が可能か充分検討してまいります。

3.家庭の教育機能総合モデル拡充事業

Q1

次に「家庭の教育機能総合モデル拡充事業」について伺います。家庭は本来、子どもの支えとなるものであり、小さいときから、愛情で結ばれた家族のふれあいを通じて、子どもは、基本的な生活習慣や他人に対する思いやりなどを身につけていきます。ありのままの自分を受け入れてくれる存在や場があってはじめて、子どもは安心して次のステップへ踏み出していけるのであり、他者との関係をつくっていけるともいえます。

しかしながら、都市化、核家族化、少子化の進展や、地域における人間関係が希薄になること等により、子育てに対する不安や負担を感じる保護者がふえており、「子ども・未来プラン」によれば、就学前や小学校低学年の保護者の約半数が何らかの不安や負担感を感じています。

このような状況にあって、子どもたちが健やかに育っていくためには、保護者がその役割を果たすだけでなく、地域全体で支えていくことが必要です。また、対話や交流を通じて保護者自身が子どもとのかかわりの大切さに気づき、子育てに自身を持てるようエンパワメントすることが重要です。

わが党のかけはし議員が本会議の一般質問で伺った「家庭の教育機能総合モデル拡充事業」は、支援を要する家庭に対し、家庭の教育力を向上する上で大きな成果をあげていると聞いています。あらためて本事業の趣旨と概要等についてお伺いします。

A1

子どもたちをすこやかに育てるためには、すべての教育の出発点ともいえる家庭において、保護者が自信と責任を持って子どもの教育に当たることが重要である。

府教育委員会においては、平成14年度から、家庭の教育力の向上を図るため、学校の教育機能を活用し、課題を抱える家庭に対する効果的な支援方策を調査・研究する「家庭の教育機能総合支援モデル事業」を創設し市町村への委託事業として実施した。

本事業は、地域人材からなる「家庭教育サポートチーム」が小学校に常駐し、教職員と協力しながら、家庭訪問などをとおして個々の家庭を支援するものである。

実施状況については、平成14年度、「モデル事業」を2市でスタートし、翌年3市を加え5市で実施したところ、効果の兆しが現れたことから、さらに、16・17年度に「モデル拡充事業」として取り組み、4年間あわせて、府内35市町で実施していただいている。

Q2

事業趣旨と概要、また拡充の経緯についてお聞かせいただきました。地域人材からなる「家庭教育サポートチーム」が、小学校に常駐し、教員と協働して家庭支援に取り組んでいることや保護者に関わるために、学校の教育機能を活用するということは、とても興味深いところです。子どもたちが通う小学校では、担任の先生が子どもの様子を通して保護者の状況が把握できるし、子どもを通して家庭に働きかけることができるわけです。

ただ、不登校をはじめさまざまな課題を抱える子どもたちの担任は、子どもが登校していなければ家庭に電話をかけたり、状況によっては家庭訪問するなど大変苦労されていますが、時にそれが子どもや保護者を追い詰める結果になることもあり、熱意と結果がうまくつながらないことも往々にしてあります。

クラスの学習指導に加えて、木になる子どもたちへの対応に多くのエネルギーを費やしており、保護者と十分に連携することが難しいのも現実です。その点からも、保護者に対してサポートチームがかかわるということは、とても意義があると考えます。本事業におけるサポートチームの活動がどのような成果を挙げているのか伺います。

A2

本事業の実施校においては、サポートチームと連携した活動を展開するため、校長のリーダーシップのもとコーディネーター役の教員を中心に学校としてサポートチームの受け入れ体制を整えている。

サポートチームは、子育て経験者や学生ボランティア等の地域人材から構成され、学校における子どもの様子や変化を見守り、家庭の状況を把握する。さらに、登下校の際に保護者と挨拶を交わすなど、徐々に関係を深め、家庭訪問等を通じて助言や支援を行っている。

このようなサポートチームの働きかけをとおして、朝起きられなかった保護者が朝食を作るようになり、自ら学校に相談に訪れるなど、子育てに対して積極的に取り組む姿勢もみうけられる。

また、子どもは、保護者が見守ってくれる安心感から、学校生活が改善し、学習活動にも意欲的になるなどの変化が現れており、10人近くいた不登校児童の大半が登校するようになった事例もある。

さらに学校においても、サポートチームの活動をきっかけとして、教育課題に関する教職員間の情報の共有化が進み、家庭との信頼関係も深まるなどの成果をあげている。

Q3

家庭訪問等によって保護者を支援することで、保護者が子育てに前向きになるという変化だけでなく、子どもの生活が改善され、学校と家庭との信頼関係も深まるなど好循環が生まれているわけですね。

本事業でこのような成果が上がっているのは、サポートチームが教員とは違った立場で保護者や子どもに接したことに成功の鍵があったと考えますが、その成果要因をどのように分析しているのか。もう少し詳しくお聞かせください。

A3

サポートチームは、家庭訪問の際に、子どもの作品を持参することなどにより、保護者にわが子の成長を実感してもらい、元気づけるよう心遣いをしながら接するようにしている。

また、保護者に対して責任を問うのではなく、その苦労や思いを受けとめ、子育てを経験した立場から親身になってアドバイスするなど、保護者に寄り添い気持ちをほぐしていくように関わっている。

このような保護者の心をひらくきめ細やかな活動をはじめ、それを実現できる地域人材の確保、さらにサポートチームの力を引きだした学校の取組みが成果の要因であると考えている。

加えて、保護者の変化をとおして、情報の共有化や協働の重要性を認識するようになった教職員の意識の変化も大きな要因と考えている。

Q4

地域の人材であるサポートチームが、保護者や子どもに、受容と共感にもとづき、きめ細やかにかかわったことが、成果要因であることがよくわかりました。私の地元茨木市でも、市の人材養成講座を受講し、コミュニケーションスキルなどを身につけた人がサポートチームの一員として活動し、成果を挙げていると聞いています。

また保護者や子どもの変化が明らかにわかるということが、教員にとっても保護者や子どもへのかかわり方などを改めて見直すきっかけとなり、教員自身の意識の変革につながっていることも重要です。

本事業は他府県でも例を見ない大阪らしい独自の取り組みであると思います。本事業を実施した市町だけでなく、事業を通して得られた成果や蓄積されたノウハウを府内全域に広げていく必要があります。その展開方策についてどのようにお考えですか。

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府教育委員会としては、本事業の成果を普及するため、全市町村を対象に実践報告会を開催するとともに、学校教育や社会教育の主管部課長会議などあらゆる機会をとらえて、学校と地域人材の協働による家庭教育支援の有効性について周知に努めている。

また、市町での継続・拡充を促進するため、各学期に担当者会議を開催し、国や府事業の活用方策の積極的な情報提供をはじめさまざまな働きかけに努めている。その結果、これらの事業を活用するなど、取組みを継続する市町もでてきている。

しかしながら、地域人材の確保や学校での受け入れ体制のあり方などが課題となり、継続が円滑に進んでいないところもあることから、今後、地域人材の役割や教職員の意識改革の重要性などの周知徹底に努めてまいりたい。

さらに、4年間の事業実施により実証された成果をふまえ、全市町村において本事業の趣旨を活かした取組みが主体的に展開されるよう、支援のあり方も含め検討してまいりたい。

要 望

「家庭が変われば、子どもが変わる」ということを念頭に置きながら、保護者だけを追い詰めるのではなく、また学校のみにすべてを委ねるのでもなく、社会的にサポートする仕組みを幾重にも張り巡らしていくことが重要であると思います。

本事業は課題を抱えた家庭を支援するということで、大変効果が上がっており、本年度で終了するのは惜しいです。実際に取り組んでいる学校や関係者からもぜひこの事業を継続していきたいという声も多数上がっています。ぜひとも府内全市町村で本事業の成果やノウハウが生かされるよう、府として広く成果を普及させ、本事業の持つ有効性の啓発にも努めていただきたいです。それらを含め、支援のあり方など十分な検討をお願いします。

最後に1点要 望いたします。

現在、大阪府は「子どもの権利条例」制定に向けて検討会議を設けて、準備を進めておられます。条例制定の目的のひとつに「大人社会全体が子どもを権利の主体として認め、子どもの権利を保障し最善の利益を尊重する責務があることを認識する」ことが掲げられているわけですが、その中の重要な柱として、「子どもの学ぶ権利の保障」があると考えています。

学齢期の子どもたちの大半は学校で学んでいますので、冒頭申し上げましたように、学校が子どもたちの「確かな学力」を保障する場となるような教育条件整備はもとよりですが、しかし障害や病気、不登校などの理由で、その時期どうしても学校に行けない子どもたちが現実に存在します。そのような子どもたちも含め、すべての子どもたちが安心して学ぶことができる環境づくりが必要であると、私は考えます。

そのような観点からの「子どもの学ぶ権利の保障」が位置づけられるよう要 望しまして、私の質問を終わります。