森みどりの府議会レポートNo.19 > 2006.3月委員会質問
【1】男女共同参画のモデル職場づくりと企業への働きかけについて
Q1:
昨年の2月定例会において、「仕事と家庭の両立支援」について質問いたしました。知事からは「子育てに対する負担の軽減と子どものすこやかな成長を促すためには、職場における子育て環境の整備を図るなど、男性も含めた働き方の見直しをすすめることが必要であります。また、こうしたことが、就業者の活力を生み、企業の成長にもつながっていくことと認識している。それゆえ、企業における行動計画の策定を促し、両立支援に向けた企業の取り組みを促進していく」とお答えいただき、また総務部長からは「大阪府において策定中の特定事業主行動計画では、子どもが生まれる際、育児休業や休暇を連続5日間以上取得する男性職員の割合を、80%にするよう目標を掲げ、組織をあげて、積極的に取り組んでいく」との前向きな回答をいただきました。
最近日本においても「ワーク/ライフ・バランス」=仕事と私生活の共存と訳されていますが、このような考え方が注目されてきました。つまりこれまでの日本の、特に男性の働き方のように24時間仕事にどっぷり使ってしまうのではなく、仕事と家庭生活のバランスをとり、家族との触れ合いの時間や趣味やボランティア活動などにもバランスよく使えるような働き方を考えていこうというものです。それによって心や体をリフレッシュさせ、仕事にもさらに集中でき、社員の持っている能力が最大限に引き出せるというものです。
そのような観点からも、大阪府が男女のバランスのよい働き方を作り出していく先頭に立って進めていくことが大事だと考えます。それは男女共同参画のモデル職場づくりを進めていくことにもなります。そして性別に関わらず、男性も女性も、一人ひとりが意欲を持って、府政の様々な課題に挑戦していくという職場風土を作っていくことであると思います。
今年度から始まった「特定事業主行動計画」がどのくらい進展しているのかは、詳しいデータはまだ出ていないとのことですので、分かり次第教えていただくとして、男女共同参画推進の総合調整の役割を担う男女共同参画課として、モデル職場づくりの基礎となる職員の意識改革にしっかり取り組んでいくべきと考えますが、いかがですか。
A:
- 市町村、府内企業への男女共同参画の取組の波及を図るため、府内有数の事業体でもある大阪府庁が率先して実行し、男女共同参画が実現したモデル職場づくりに向けた取組を進めているところ。
- これまで、「男女共同参画意識の全職員への定着」、「性別にとらわれずに能力を発揮できる職場環境づくり」、「女性職員の意識改革」「ワーク/ライフ・バランスのために」という4つの基本的な視点に基づき、人事室等の関係部局と連携して、様々な取組を進めている。
- 男女共同参画意識の全職員への定着は、全ての取組の基盤となるものと認識。
そのため、管理職をはじめとした職員一人ひとりに男女共同参画についての正しい理解を浸透させるため、職員から募集した標語である「あなたが活きる、職場が活きる、男女共同参画」を用いた啓発ポスターを作成し、全職場へ掲示するとともに、「男女共同参画必携」の作成と全職員への周知、庁内ウェブページに「男女共同参画モデル職場づくりウェブページ」を開設し、府のモデル職場に向けての取組姿勢を明らかにするとともに、先輩職員の体験談などの情報を提供している。
Q2:
最近の若者の中には、男性も子育てに積極的に関わってみたい、両立できる企業を選びたいという人も出てきていると聞きます。核家族化の進展によって、男性も子育てに参加せざるを得ない人たちも少なからずいます。しかし、一方で周りの環境が整っていない中では、「職場に迷惑がかかる」という意識になり、休むことに罪悪感を持ってしまうということが多いと思います。大阪府庁でもたぶん同じだと思いますが、職場の理解や職員全体の意識改革という点では、男女共同参画課としてどのように取り組んでいるのですか。
A:
- 男性の子育て参加については、これまで人事室や関係部局と連携して職員研修等を通じて管理職の意識改革に努めるとともに、人事室庁内ウェブページに掲載されている男性職員の育児休業取得者の体験談を、男女共同参画ウェブページでも広く紹介するなどして、職員の意識啓発に努めてきたところ。
- さらに、今年度、特定事業主計画が策定されたのを受けて、新たに、「みんなでサポート、子育てしやすい環境づくり」をキャッチフレーズとしたポスターを人事室と連携して作成し、全職場に掲示することとしており、こうした取組を通じて、男女問わずに子育てしやすい職場環境をつくっていくことの重要性に対する認識を職員に浸透させていきたいと考えている。
Q3:
意識の問題というのは、着実な取り組みによって根付いていくものであり、すぐに効果が見えないという難しい問題ではありますが、粘り強く取り組んでいただきたいと思います。
そして、そうした大阪府の男女共同参画の職場づくりに向けた取り組みの姿勢と知恵を、府内の企業へと波及していくようにしていただきたいと思っています。
すでに大阪府では全国に先駆けて、企業における、男女がともに働きやすい職場づくりを促進するための事業登録制度を創設し、登録拡大を図っているとのことですが、現状をお聞かせ下さい。
A:
- 男女共同参画を推進するうえで、事業者の果たす役割はきわめて重要であり、また、今後の大阪を活性化するためにも男女がともにいきいきと働くことができる職場づくりを進めることが不可欠であることから、男女共同参画推進条例に基づき、「男女いきいき・元気宣言」事業者制度を創設したもの。
- 現在、中小企業から大企業まで、67社が宣言事業者として登録し、各社の状況に応じた様々な取組を推進してもらえるよう、応援しているところ。このほか、現在、審査を進めている応募企業もあり、それらを含めると、今年度内に宣言事業者数は、約75社になる見込み。
Q4:
昨今、企業倫理を問われるような事件が相次いでいます。儲けの為なら、そこで働いている人の健康や生活を省みない企業が作り出す製品やサービスは、利用する市民の側にも安全性を脅かすようなものになって返ってくるということがいえるのではないでしょうか。
私は、「人を使い捨てにするのではなく、能力を上手に引き出せる企業こそが、これから発展する」というメッセージを行政が率先して発信していくべきだと思います。また、そのような企業が社会的に高い評価を得ることができる仕組みづくりが求められています。
そのために、先ほどの「男女いきいき・元気宣言」事業者制度を存分に活用して、男女がともに働きやすい職場づくりに工夫を凝らしている企業の意欲を高めて、企業が積極的に取り組んでくれるようにしていくことが必要だと考えます。
特に、大阪は中小企業の町です。仕事と家庭の両立支援や子育て支援によって、働く人の満足度が向上し、有能な人材を確保でき、かつ定着していくという、メリットを感じ、中小企業の活力を生み出す源にしていってほしいと思うのです。
この点について、どのように取り組んでいかれますか。
A:
- 大阪府内には、男女がともに活躍できる職場づくりのために、創意工夫を凝らしている事業者が数多くいる。こうした事業者の取組を積極的に紹介し、スポットをあてるとともに、その取組を府として応援することにより、事業者による自主的な取組の輪を広げていこうとするのが本制度の特徴。
- 具体的には、「女性の能力活用」や「仕事と家庭の両立支援」など、働く場の男女共同参画に取り組む意欲ある事業者を登録し、事業者向け啓発冊子などを通じて、その取り組みを広く紹介するとともに、シンボルマークを提供し、男女が働きやすい職場づくりをめざしている事業者であるという、社内外に向けたイメージづくりに役立ててもらっている。
- ご指摘のとおり、この制度が真価を発揮するためには、企業の業種や規模を問わず、幅広い事業者へと登録拡大を図っていくことが重要。そのため、これまで関西経営者協会、商工会議所、商工会などの商工団体を通じて、会員企業への周知を図るとともに、様々な事業者団体の会合等へ職員が出向いて、制度の趣旨について説明するなど、積極的な広報活動に努めているところ。
- さらに、商工労働部との連携を図り、中小企業の事例の発掘など、様々な情報を収集するとともに、今年度から、新たに、ホームページ上で、多様な企業の取組事例を計画的にデータベース化し、広く他の企業や府民に発信していく事業に取組んでいるところであり、今後も、できるだけ多チャンネルで事業者にアプローチを行えるよう工夫を凝らし、企業の意欲を喚起し、取組の輪を効果的に広げていく。
Q5:要望
働く人たちへの意識啓発や「両立支援で優秀な人材を確保している事例」などが企業側にも目に見える事業としていくことがまだまだ必要です。
いま、取り組んでいるような地道なものも大切ですが、もう少し裾野が広がった段階で、企業にとってのメリットがもっとはっきりとした形になるような行政からの仕掛けも今後考えてほしいと思います。
【2】青少年の居場所づくり
Q1:
思春期の子どもの居場所づくりや、社会的ひきこもりについての早急な対応策をと、機会あるごとに質問してまいりました。
家庭や地域社会での人間関係が希薄化する中で、青少年が豊かな人間性や社会性を身に付けることが大変難しくなっている昨今、青少年がさまざまな葛藤の中で自らを見つめ、主体的に行動できる場づくりが重要であると考えますが、府として、青少年の「居場所」というものをどのように考えていますか。
A:
- 同会議では、青少年の「居場所」の現状について、
- 多くの青少年は「居場所」を持ち、様々な活動を展開している。
- 一方、「居場所がない」と感じ「居場所」を探し続けている青少年も存在している。
- また、既に「居場所」を持ち、活動している青少年の中にも「新たな出会い」や「つながり」を求めながらも、その方法等がわからず、立ち止まったままの青少年も存在している。
- また、青少年の「居場所」についての課題としては、
- 身近な地域の中での「居場所」に関する情報が少ないこと。
- 地域に向けて自らが欲しいと思う「居場所」の情報を求める仕組みが少ないこと。
- 行政や地域の大人が収集し、発信された情報は形式的なものが多く、青少年のニーズにあったものが少ないこと。
- 府では、これまでも「非行等青少年立ち直り支援事業」において、様々な状況にある青少年に応じた「居場所」づくりに取組むとともに、府教育委員会では、国事業の「地域子ども教室推進事業」を活用し、異年齢の子どもや地域住民との交流活動を通じた子どもの主体的な活動を支援してきたところ。
- 今後は、これらの取組みに加え、地域の「居場所」づくりにおける青少年の主体的な関わりを一層促進することにより、青少年のニーズにあった「居場所」づくりを進めることが重要であると認識している。
などが報告されている。
などが挙げられている。
Q2:
地域における青少年の「居場所」を考えたとき、大人のお仕着せではなく、青少年のニーズに合った「居場所づくり」が必要との認識が示されました。私もそれが大切であると思います。18年度事業として、青少年の「居場所」づくり、「つながり」づくりプロジェクトが示されていますが、どのような中身か、お示しください。
A:
- 府では、青少年の「居場所」づくり、「つながり」づくりプロジェクトとして、インターネットを活用し、青少年の「居場所」活動参画へのきっかけづくりとなる「青少年による青少年のためのホームページづくり」をモデル事業として実施するため、平成18年度予算案のご審議をお願いしているところ。
- この事業は、青少年が主体となり、青少年のニーズにあった「居場所」に関する情報を収集
- 発信できるホームページを作成するため、その運営方法等についての提案を地域の青少年育成団体やNPOなどから公募し、外部委員等からなる選考委員会で選考のうえ、モデル事業としてホームページの開発・運営を行っていただくもの。
- 実施にあたっては、青少年自らが取材者となり、自らの視点で情報を収集・発信することが重要であることから、
- 青少年が市民記者として活動し、ホームページを適正に運営していくために、取材方法や記事の書き方の基礎、個人情報の取扱いなどを学ぶ「青少年市民記者養成講座」を設けることとしている。
- また、青少年の取材活動やホームページの運営等をサポートする人材として、身近な世代である大学生等を運営サポーターとして養成することとしている。
- これらを通じて、「青少年による青少年のためのホームページづくり」を支援し、青少年の「居場所」づくり・「つながり」づくりを進めてまいりたい。
Q3:
おおかたの青少年は学校での部活動や、学校外でも何らかの「居場所」を持ち、活動を行っているのだろうと思いますが、青年政策会議の議論にもあるように、不登校の児童・生徒や、長年引きこもってしまっている青年たちは、「自分には居場所がない」と感じていることが多いのではないでしょうか。
このような青少年たちにも、自分たちの「居場所」を作りだしたり、必要とする情報を見つけたりすることは大変重要だと思うのですが、この事業がそのような立場の青少年も視野にいれて考えられているのでしょうか。
また、今後地域において青少年が主体的に「居場所」づくりが進められるような事業に発展させていくことも大事だと思いますが、どうですか。
A:
- このたびの事業実施にあたっては、不登校の児童・生徒など、その状況に応じて、それぞれのニーズにあった「居場所」の情報を収集・発信していくことが重要であると認識している。
- このため、「居場所」づくり・「つながり」づくりプロジェクトにおけるモデル事業では、ホームページの運営主体となる青少年が情報収集・発信するだけではなく、
- 様々な状況にある青少年が、このホームページを通じて、自らのニーズにあった情報を地域に求めることができるような仕組みも構築したいと考えている。
- また、この事業実施後の成果については、市町村をはじめ、地域の青少年関係団体等に提供し、地域において青少年が主体となった「居場所」づくりが進められるよう働きかけてまいりたいと考えている。
- これらを通じて、青少年の多様なニーズにあった「居場所」に関する情報等を収集・発信する仕組みが、広く地域に展開され、それぞれの青少年の状況に応じた「居場所」が獲得されるよう取り組んでまいりたい。
【3】帰国渡日児童生徒支援について
Q1:
先月、滋賀県で起こった中国籍の母親による幼稚園児殺害の事件は、背景が少しずつわかってくるにつれ、地域社会のつながりの希薄さと同時に、文化や風習の違う外国で育った人が、日本社会に適応して生きていくことの困難さをあらためて思い知らされました。
子ども時代を海外で過ごし、大きくなってから日本に帰ってくる帰国児童生徒でも日本の学校や社会に適応できずに苦しむということがあると聞いていますから、違う環境で育った大人や子どもが、異文化社会で暮らすというのは、大きなストレスとなるだろうと思います。
そのような人たちへの適切な支援策が必要だと考え、いくつか質問いたします。
平成2年(1994年)6月に「出入国管理及び難民認定法」が改正されて以降、わが国への外国人の移住が増加しています。それは大人だけではなく、一緒に来る子どもの数も増えてきていると思います。
現在大阪府において、小学校・中学校・高校に、それぞれどれくらいの外国人の子どもたちが在籍しているのでしょうか。
そして、それらの子どもたちは、いきなり日本にやってきて学校に入っても、ほとんど言葉がわからない状態であると思いますが、「日本語が十分に理解できない子どもたち」すなわち「日本語指導を必要とする児童生徒」の数と、その言語別の状況も合わせてお示しください。
A:
大阪府における小・中・高での外国人児童生徒の状況について、回答する。
平成16年12月31日現在、大阪における外国人登録者数は、21万3124人であり、そのうち学齢期にある子どもたちの校種別の在籍数は、学校基本調査によると、小学校においては6255人、中学校においては4807人、高校においては2775人となっている。国別に見ると、約7割の韓国・朝鮮が最も多く、次いで2割弱の中国、フィリピンとなっている。
次に、国の「日本語指導の必要な外国人児童生徒の在籍調査」によると、大阪府における日本語指導の必要な児童生徒数は、平成17年9月1日現在、大阪市を含む公立の小学校には651人、中学校には313人、高校には214人、盲・聾・養護学校2人の合計1180人となっている。過去5年間の推移を見ると、増加傾向となっている。
これらの子どもたちを言語別に見ると、約7割が中国語で最も多く、次いでベトナム語、韓国・朝鮮語、タガログ語、ポルトガル語、スペイン語、タイ語となっている。その他の言語をあわせると、23言語にわたっており、特に、アジアの言語が極めて多いというのが、大阪府の特徴となっている。
Q2:
アジアの国々から 渡日する子どもたちが多く、さらに増加傾向にあるということですが、この子どもたちの就学状況についてお尋ねします。
小・中学校の学齢期にある外国人の子どもたちについては、その親に対してわが国での就学義務は課せられていませんが、昭和52年の「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」を受けて、入学を希望するものについては、公立の義務教育諸学校への受け入れが保障されているわけですね。
大阪府においては、これらの外国人児童生徒の就学状況はどのようになっていますか。
A:
外国人児童生徒の就学については、対象となる外国人の居住が安定していないことや、外国人滞在者のプライバシー保護への配慮、統計的手法だけでは調査できない等の理由から、現在は正確な状況把握は困難である。
こうしたことから、本年度、国において不就学の実態を把握し、これをふまえた就学支援に関する実践研究を目的とする「不就学外国人児童生徒支援事業」が始まったところである。大阪府においては、多数の外国人児童生徒が在籍している大阪市と豊中市でこの事業に取り組んでいる。
Q3:
大阪府がアジア戦略として、アジアの国々との関係を強めていこうとすれば、当然のごとく、観光だけではなく、研修や就労を目的として多くの外国籍の人たちが大阪にやってくるでしょうし、その子どもたちの就学を保障していくことは重要です。教育委員会として、きちんと把握できるように、その方法などを検討していただきたいです。
次に、学校に入学した後、安心して楽しく学校生活が送れているのでしょうか。まずはじめに言葉の壁が大きいと思いますが、文化・風習などの違い、さらには学習面でもさまざまな困難があると思いますが、教育委員会として、どのように把握し、認識していますか。
A:
帰国・渡日児童生徒が、学校や家庭で生活を送る上での課題について、回答する。
学校においては、入学した児童生徒の日本語の力が十分でないため、学習内容も十分に理解することができず、表面的な理解にとどまっていたり、学習意欲が低下するなどの学習面での課題がある。
また、文化・習慣の違いやコミュニケーション能力の不足から、クラスの中で友達同士の意思疎通に困難を生じるなど、人間関係の課題もある。
さらに、家庭内の問題については、幼児期に帰国・渡日してきた児童生徒は、日常生活に用いる日本語について習熟が進む中で、徐々に母語を忘れ、アイデェンティティの保持が困難になるという課題もあります。
また、日本語の習得が進まず母語中心の保護者と、日本語の力が伸びて母語を忘れがちになる子どもとの間で、意思疎通が困難になるなどという、良好な家庭関係が維持できない事例も少なからずある。
このように、帰国・渡日する子どもたちは、学校や家庭において様々な悩みや課題を抱えていると認識している。
Q4:
おっしゃるとおり、日本語の習得が、学習のみならずすべての面で基礎になると思いますし、大変重要なことです。
日本語の理解が十分でなければ、先生や友達との意思疎通が十分にできませんし、あらゆる面で環境が違う中で孤立感を深めることにもなります。まずは1対1で言葉や生活面での手厚い指導や手助けが必要になると考えますが、通訳などを含め、人的な配置状況はどのようになっていますか。
A:
日本語習得のための支援などを行う指導者の本年度の配置状況についてお答えする。
小・中学校では、市町村教育委員会が独自に人的な措置を講じているところもありますが、府といたしましては特に外国人児童生徒の多い56校には、個別の日本語習得のために日本語指導対応教員66名を配置している。
府立高校では、個別の日本語指導や母語指導などの対応のために、学校支援人材バンクを活用して、のべ22校に52名を派遣し、新たに本年度から日本語教育学校支援事業で教育サポーターを16校の府立高校に22名派遣している。
Q5:
現在の配置状況はわかりました。かなり苦労していただいているようですが、これで十分な支援であるとはとても思えません。
先日も茨木市内の小学校を訪れたとき、2年生の担任の方とお話をしていてたまたまその話になったのですが、クラスには、エジプトから来ている子どもが在籍していました。通訳の配置校数と時間数は先ほど示していただきましたが、その学校に一人通訳の方に来ていただいても、毎日ではないですね。週に何時間かの配置だと聞いています。朝、学校に登校してから授業が4時間から5時間、休み時間もあります。給食も食べます。食べるものも国が違えばずいぶん習慣が違い困惑する場面もあると思います。せめて子どもたちが日常の会話に不自由を感じなくなるまで、これは子どもの状態によっても違うと思いますが、毎日つめて配置していただく必要があるのではないでしょうか。通訳の方がいない時間はすべて担任が対処しなくてはなりませんが、いきなりアラブ語やタガログ語など勉強してもできるものではありません。ぜひ今後力を入れて取り組んでいただきたいと要望しておきます。
さらにこの通訳の配置のほかにも、子どもたちが学校生活を送る上では、さまざまな課題が出てくると思います。食事の問題は先ほど少し触れましたが、違った環境の中でのアイデンティティの保持や、さらには進路を切り拓く力の育成など、地域ともかかわりながら、きめ細かで多面的な支援が必要になってきます。
現在、府が実施している「帰国渡日児童生徒学校生活サポート事業」「日本語教育学校支援事業」ではさまざまな支援を行っていると聞いています。この事業の概要と評価についてお聞かせください。
A:
府教育委員会は、小・中学校を対象として従来から「帰国渡日児童生徒学校生活サポート事業」を行い、お示しの悩みに応えるための多言語ホームページでの情報提供を実施している。また、府内の7つのブロックで実施している個別相談会や進路ガイダンスなど、日本の学校生活や進路選択に関する情報提供を、地域のNPOなど支援団体と連携して行っている。
府立高校を対象としては、「日本語教育学校支援事業」を本年度に立ち上げました。日本語指導の補助や教科の学習支援、放課後等の補習や母語の習得をねらいとして、当該生徒の在籍校に対して教育サポーターを派遣している。また、今春から入学準備プログラムを実施して、帰国・渡日間もない入学生に対して、通訳を介した高校生活のオリエンテーションや交流会を行うなど、きめ細かな支援を行っている。
このように、様々な支援を行っており、学校から高い評価をいただいている。
Q6:
次に、支援者の数とその資質等について伺います。
府では、今お示しいただいたような支援事業を行っていますが、現場のニーズにこたえるには数とともに、その資質も重要になってきます。単に言葉がしゃべれるだけでは、子どもたちの悩みや課題にこたえる支援はできません。家庭環境によって、また成長段階に応じて、子どもたちの課題はひとりひとり違ってきます。この子どもたちの悩みに応え、サポートしていこうと思えば、支援者には教育に対する一定の知識や技能が必要になってきます。今後、このような支援者に対するニーズは今以上に高まってくると予想されますが、帰国・渡日児童生徒を支援する一定の力量をもって活動されているサポーターの数は、現在どのくらいでしょうか。支援者の現状をお尋ねします。
A:
帰国・渡日の子どもに対して、十分に指導できる支援者は少なく、特定の支援者が加重負担となっている現状がある。企画調整部国際課が行っている1000人サポーター養成事業の中で、学校教育でのサポーターを希望する者は約300人である。しかし、日本語教育学校支援事業で活動する教育サポーターは22人程度であり、海外にルーツを持ち、母語や母文化に精通している一部の人に集中をしている。実際に、一つの学校で熱意を持って活動し、実績を認められている支援者は、他の学校からも支援の要請がかかる傾向にあり、1週間の大半を生徒の支援に関わっている状況である。
また、委員ご指摘のとおり、支援者の数の課題に加え、資質の課題も認識している。昨今、子どもを育てる立場から保護者・家庭と連携できる支援者が求められている状況は理解している。こうしたことから、府教育委員会は、本議会での承認を経て、来年度「アジア渡日児童生徒支援者養成事業」を新規に立ち上げる予定である。支援者としての数の確保を図るとともに、持っていただきたいソーシャルワーク的な能力など、子どもたちと保護者を支援する際に有効となるスキルアップ研修を行う。この事業では、アジアを中心に、母語や母文化に精通した教育サポーターを、年間100人養成することとしている。
また、養成した支援者の有効活用を図るため、地域での活用が促進できるよう、地域の人材バンク登録などのシステムについても、今後検討しまいりたい。
当事業においても、委員の皆さまのご理解とご協力をお願いします。
Q7:要望
帰国・渡日児童生徒への支援については、府教委はずいぶんがんばっていただいてると、その姿勢について評価できるものです。
しかしながら、外国の事例などに比べますと、社会全体の姿勢としてはまだまだ遅れている分野であると思います。
大阪府では、知事の「アジアの中枢都市・大阪」ビジョンを実現するための施策が進められ、国レベルでも自由貿易協定および経済連携協定が東アジアと結ばれつつある中で、大阪にやってくる外国人は今後も増え続けると予想されます。一方で昨年の広島県や、先日の滋賀県での悲惨な事件の背景には、個人の問題だけではなく、外国人が日本社会に適応することの困難さがあり、日本社会の未成熟さもあるのではないでしょうか。
大阪が真に国際都市となるためには、国籍や民族を越えて互いの文化の違いを認めながらともに生きていく社会を構築することが求められます。そのためには、教育委員会として、受け入れた子どもたちの就学保障はもとよりですが、学校の行事や日常の諸活動を通じて、子どもの保護者にもかかわっていただきたいと思います。保護者が安心すれば、子どもたちも早く学校に溶け込むことができますし、逆に親が地域社会に不適応になり閉じこもってしまったりすると、子どもは親と学校・地域のハザマでつらい思いをします。
子どもたちやその保護者が安心して地域や学校で過ごせるよう、いっそうの支援に努めていただくよう、再度強く要望いたします。
【4】スクールカウンセラー
Q1:
大阪府の小学校における不登校児童生徒数は平成13年度をピークに少しずつ減少していますが、いじめや暴力行為等の問題行動の発生件数は増加をつづけるという厳しい状況が続いています。
また、直接自らを傷つける行為、自殺や自殺未遂、リストカット等が十代の若者たちに広がってきていますし、精神科や思春期外来などを受診する子どもたちの数も増加している現状です。
ししゅんきが危機の時代だといったのはルソーですが、思春期の頃は心と体の成長の不均衡なとき、嵐の吹き荒れる時期と表現されていますが、現代において、よりストレスの度合いが強まり、その対処も難しい時代になり、その影響を受けて苦しむ若者が増えているといえるのではないでしょうか。
そのような時期にさまざまな問題行動が出てくるのは当然のことなのかもしれませんが、そんなとき身近に相談できる人がいれば、自分自身を追い詰めていくこともなくなるのではないかと思います。
そのような対応策のひとつが、スクールカウンセラーであろうと考えます。府教育委員会では、平成13年度から中学校での配置を開始し、今年度17年度には府内の全公立中学校に配置・派遣を完了したと聞きました。
ただし、このスクールカウンセラーの勤務日数も先ほどの外国人支援サポーターのときと同じように、わずか週に一回ということですが、この事業の効果をきちんと検証していくという観点からいくつか質問をいたします。
まず、年間の相談件数および相談内容はどのようなものが多かったのかお聞かせください。
A:
- スクールカウンセラーの活動状況についてですが、平成16年度1年間に公立小中学校においてスクールカウンセラーが受けた相談件数を対象別に見てみますと、児童生徒から受けた相談件数は29,034件、保護者は12,649件、教員は38,166件、合計79,849件となっています。
- 相談内容について見ますと、保護者、教員からの相談はともに「不登校」に関することが最も多く、どちらも相談件数の約40%を占めています。
- 一方、児童生徒からの相談については、「不登校」に関することが約20%ありますが、最も多いのは「その他」の項目に分類されているもので約27%を占めています。
- 「その他」の項目に分類されている相談内容について申しますと、児童生徒の中には漠然とした不安や悩みを訴えてくる者も多く、このような訴えに対してもていねいに対応することで、児童生徒の不安解消や心の安定を図るという活動もスクールカウンセラーの相談活動として重要であり、結果として不登校の未然防止にも役立っていると考えております。
Q2:
平成16年度は全体の94%にあたる314校の配置で、カウンセラーの方は週一回、1年間で35回勤務したとして、単純に計算して10990回の勤務となります。相談数の合計が79849件という結果を見ますと、1日にざっと7〜8件の相談があるということになりますね。これだけでもずいぶんと多いなあと感じます。
もちろん相談の内容も軽いおしゃべり程度のものから、深刻なものまでいろいろあるでしょうから、単純な数値だけでは測れませんが。またスクールカウンセラーは、児童生徒や保護者との直接のカウンセリングのほか、教職員に対する助言や情報交換、構内研修やケース会議への参加などの役割を担っていると聞いていますが、それらのスクールカウンセラーの働きが、学校の教育活動にどのような成果を挙げているのか、また教育委員会として効果測定をどのようにされているのか併せてお尋ねします。
A:
- 「心因性」の不登校状態にあった児童生徒のうち、スクールカウンセラーが行う相談活動によって、学校復帰した者は、約18%であり、関わらなかった者より6ポイント高くなっております。
- また、スクールカウンセラーから府教育委員会に提出された、「成果のあった事例報告書」によりますと、スクールカウンセラーの研修を受けて、教員の子ども理解が進み課題解決に役立った事例や、中学校と小学校の連携により、問題行動等への早期対応、未然防止につながったという事例が報告されております。
- また、昨年度、2月に行ったスクールカウンセラー全員及び全ての配置中学校に対するアンケート調査によりますと、「スクールカウンセラーによる教育相談が有効である」と回答したのは配置校の92%にのぼり、また、「学校の教育相談に貢献できている」と回答したスクールカウンセラーは88%に上っております。
Q3:
大変効果が挙がっているということですね。
確かに問題行動を起こす児童生徒を、担任教師が一人で抱え込んでしまい、しかし課題の大きさに、なす術が見つからず、結局担任も危機的状態に陥ってしまうという事例が過去にいくつもあったことを考えると、身近に相談できる専門家がいるということは教員にとっても心強いことだと思います。
ただし、問題を抱えている子どもがすべて担任やまわりの大人に、はっきりとわかるサインを出してくれるとも限りません。問題行動を未然に防止するためには早い段階で子どもの心の葛藤に気づいたり、何気なく出されるサインを見逃さないようにすることも求められます。とはいえ、カウンセラーのいる日がいまだ週1回ということは、大変心もとない気がするのですが、この点に関して教育委員会としてはどのように考えているのですか。
また、カウンセラーに対するマイナスイメージをもつ子どもや保護者も実際にはいると思います。カウンセラーの位置づけなど、学校ではどのような工夫がなされているのでしょうか。
A:
- 委員ご指摘のように、児童生徒が発するかすかな兆候を早期に察知することは、問題の発生を未然に防止するためには極めて重要です。
- そのためには、まず、スクールカウンセラー等からの専門的な助言等により、教員が児童生徒の微妙な変化を敏感に捉え、対応する力を高めていくこと。
- 次に、教員とスクールカウンセラーが協働して、児童生徒に対応するサポート体制を構築することが大切だと考えております。
- こうした観点を踏まえ、大阪府教育委員会では、平成16年3月に取り組みの成功事例や指導の留意点を整理した冊子「れんけい」を作成し、府内全小中学校に配布したところです。
- 次に、学校内でカウンセリングが円滑にすすめられるためには、児童生徒や保護者に対しては、気軽にカウンセリングが受けられる環境を整えることが大切であると考えております。
- そのため各学校では、相談室への「入りやすさ」と「秘密保持」を両立できるような部屋の配置の工夫や休み時間の相談室の開放等をすすめています。
- また、スクールカウンセラーが作成した見やすい「相談室便り」を配布したり、カウンセラー自身が子どもに積極的に声をかけたりするなどの工夫も行っています。
Q4:
中学校に配置されているスクールカウンセラーが、思春期の子どもたちのさまざまな悩みの解決や、不登校などの未然防止に効果を挙げていることは良くわかりました。
しかしながら小学校にもいわゆる小1プロブレムや学級崩壊等に代表されるような解決すべき課題が多くあります。中学校配置のスクールカウンセラーが小学校に支援にいけるのは多くても月1回程度に限られているのが現状であり、それに代わるなんらかの支援を行う必要があります。
さらには、都市化、核家族化、少子化の進展や、地域における人間関係の希薄化などにより、子育てに対する不安や負担を感じる保護者が増えており、子ども・未来プランによれば、小学校低学年の保護者の約半数が何らかの不安や負担感を感じています。
したがって、小学校においては、このような不安や悩みを抱える家庭に対する支援がより必要とされていると考えます。
府教育委員会では、今年度より「子どもサポート推進事業」として小学校にスクールソーシャルワーカーを配置しておられますが、家庭への支援という観点から注目すべき取り組みです。現在までの配置状況や成果についてお伺いします。
A:
- 子どもたちの抱える課題には、彼らを取り巻く家庭等の環境が大きな影響を与えている事例が多くあります。そこで学校、家庭や地域さらには関係機関等にはたらきかけることでその環境の改善を図ることが、事案の未然防止や早期解決に有効です。
- そのために、教育委員会では、平成17年度より、社会福祉に関して高度に専門的な知識を有する人材を府内7地区の7小学校にスクールソーシャルワーカーとして配置しております。
- スクールソーシャルワーカーの具体的な役割としては、児童・保護者・教員への相談活動や、教員と連携しての家庭訪問、関係機関との連絡調整等です。
- スクールソーシャルワーカーを招集して毎月実施している連絡会において、きょうだいでの不登校やグループで問題行動を繰り返す事例などに、教員とともにチームを組んで関わり、状況の改善が図られた事例や、さらに、学校の対応だけでは限界のある事例については、子ども家庭センターや家庭児童相談室など福祉機関との連携を図り、精神的に不安定な保護者への医療的なケアなどを行い、子どもの不安や負担の軽減につながった事例など、成果が報告されております。
- 配置しているいずれの学校からも、課題解決に大変大きな役割を果たしていると、高い評価が寄せられております。
Q5:要望
答弁で示されましたように、スクールソーシャルワーカーというのは、個人を取り巻く環境に着目し、必要に応じて民生児童委員や子ども家庭センター等の関係機関の協力を得ながら、子どもの外的要因に働きかけ、問題の解決を図る役割を担っています。
一方、スクールカウンセラーは、主としてカウンセリングという手法を使って、子どもの内面に働きかけ、子ども自らが元気になろうとするのを助けます。
スクールカウンセリングと併せてスクールソーシャルワーカーについてお尋ねしたのは、両者が担う役割の違いはあるものの、子どもの健やかな成長には、両者の連携協力が不可欠であると考えたからです。
スクールカウンセラーの相談の中で、教員からの相談がもっとも多かったことからもわかるように、いま、学校ではさまざまな課題を抱える児童生徒や保護者が増えてきており、教員はその対応に追われています。その中には今までの経験だけでは対応できない事案も多く、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーのような専門的な知識を持つ人材は不可欠です。
教育委員会では実にたくさんの事業を実施しておられますが、府の財政状況が厳しい中では、一つ一つの事業の成果や課題をきちんと検証した上で、効果のある事業に予算を集中していくことが大切だと思うのです。さらにいえば、教育委員会だけに限らず、生活文化部、健康福祉部などと重なる部分も多く、名称は異なるけれどよく似た事業や、併せてやればもっと効果的にできる事業というのもあると思います。ぜひとも検証をしていただきたいと思います。
そのような観点からも、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーのような府民のニーズに応え、成果を上げている事業の更なる充実を要望します。
