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森みどりの府議会レポートNo.27

【2008年1月】会派の視察

“こうのとりのゆりかご”とは

2007年5月に慈恵病院の一角に設置された赤ちゃんポストです。

 望まない妊娠や親になる心構えのない若年の妊娠や未婚の妊娠などで、どうしても赤ちゃんを育てられないときに、匿名で預けられる場所で、日本で始めて設立されました。

 病棟1階にある「新生児相談室」の外壁に小さな扉(高さ55cm、幅60cm)があり、その内側に24時間保温の保育器が置かれているそうです。新生児を託し、扉を閉めると施錠され、再び扉を開けることはできません。が、外壁にはナースステーション直通のインターホンがあり、横に「思い直されたらこのボタンを押してください。当院の医師または看護士がご相談をお受けします。」と掲示され、慈恵病院ならびに熊本県、熊本市それぞれの24時間対応の電話番号が書かれた小さなカードが置かれていました。

“こうのとりのゆりかご”設立に当たって

 “こうのとりのゆりかご”の見学(ただし、中は雑菌が持ち込まれないよう勝手に開けたりできませんので、外からだけの見学でした)の後、看護婦長さん、事務局長さんからお話を聞き、設立の経過を説明されたビデオを見せていただきました。

“ゆりかご”の設立に当たっては、「赤ちゃんの命を救える」という一方、「育児放棄を助長するのではないか」という意見もありましたが、“ゆりかご”の生みの親、蓮田太二理事長(72歳)はHPやビデオの中で次のように語っておられましたので、抜粋して掲載させていただきます。

《平成16年、ドイツに「ベビークラッペ」というものが設立されていると聞き視察に行きました。現在ドイツではたくさんの赤ちゃんが捨てられ、寒いドイツでは多くの場合遺体として発見されるそうです。2000年にこの「ベビークラッペ」がハンブルグの保育園に設置され、赤ちゃんを助ける運動が始まり、瞬く間にドイツ全土に広がりました。今では70ヶ所以上に設置され、年間40人程の赤ちゃんが助けられているそうです。

 日本ではそんなに多くの赤ちゃんが捨てられることはないと思っていましたが、熊本県内でも赤ちゃんを遺棄し、死体で発見されたケースが昨年3件あり、また身近なところでも18歳の無職の少女が産み落としたばかりの女児を殺して庭に埋めるという事件や、21歳の専門学校生が汲み取り式トイレで女児を産み落とし窒息させ6年の実刑判決を受けるという痛ましい事件が発生しました。

 捨てるという事は子どもの命をなくす事につながりかねません。しかし安全なところに預けるという行為はわが子を助けたいという母親の切なる気持ちがそこにはあるのではないでしょうか。もし自分の親が養親であることを知り悩むことがあれば「あなたのお母さんは、あなたの命を助けてもらいたいという深い愛情の元に、私たちに預けられたのです。」と言ってあげたいのです。

 認可されたとはいえ、倫理的、法的、社会的な問題がいろいろと出てくると思いますが、赤ちゃんにとって、より良い方法を考え、関係機関と連携をとりながら周囲の方々の協力を得ていきたいと考えています。》

“こうのとりのゆりかご”が使用されない社会に

 関係者の方々から直接お話を伺って、この取り組みが、ぎりぎりのところに追い詰められた女性と赤ちゃんの命を救い、より良い方法を探る道を提供していると確信しました。

 “ゆりかご”の設置をきっかけに、熊本県内はもとより全国から寄せられる相談の電話が、大変に増えたそうです。そして相談を通じて命を救うことができれば、“ゆりかご”が使われなくてもすみます。

 望まない妊娠や親になる心構えのない若年の妊娠などを防ぐことや、妊娠・出産に対しての不安が強い要支援家庭への取り組みなど、社会的支援策を充実させることで、“こうのとりのゆりかご”が使用されない社会をつくることが、究極の目的であるという強いメッセージを受け止めました。